40代は息切れしないように無理のない投資生活を
黒石さんは、独身者ならではの将来不安から、がむしゃらに貯めてきたのでしょう。浪費せず、給料天引きをするなど、その姿勢は素晴らしいですが、65歳の定年まで20年間。長く続けるためには、がんばり過ぎて息切れしないように「使う」ことも意識した方がいい。
そこで黒石さんにはあえて「消費・浪費・投資」の「浪費」の予算で浪費財布をつくって、「使う」もできるように提案しました。投資は短期ではなく、長期マラソンですから。
すると黒石さんは、ハッとした顔で、こう語りました。
「自分は一生独身のつもりで、老後のためにも必死で貯めてきました。親の資産も不透明で、あったとしても今後要介護状態になれば足が出るでしょうから……。でも、少しくらい自分に使ってもいいんですね。私、がんばり過ぎていたのかもしれません」
数カ月後、我々のもとで改めて投資の勉強をし、積み立て投資に自信がついてきた黒石さん。相場が下がった時にETFの一括購入にも挑戦し、目を輝かせていました。
本人が言うように、黒石さんの場合、毎月の余剰額を新NISAのつみたて投資枠に積み立てるほか、ボーナスやもともと持っていた預貯金の一部を使ってETFの一括購入をすることもできるのです。
多少手綱を緩めて走っていいことがわかり、心に余裕ができた黒石さん。安心してお金を使えるようになり、食生活や人付き合いもメリハリをつけて楽しんでいるそうです。
黒石さんの実例から、金融知識を身につける大切さを改めて感じた人も多いでしょう。みなさんも、自分のお金を投じるなら、どんな商品を買っているのかぜひ理解してほしいと思います。