“守り”ではなく“攻め”の投資をすべき理由

1.非課税枠を利用しているから

一般的な投資なら投資利益の約2割も税金を取られますが、黒石さんが積み立てている企業型DCやNISAは、非課税枠。思いっきり株で利益を出し、アクティブに運用しないともったいない。もし債権に投資したければ、課税される口座で持てばいいのです。なぜなら債券は株と違って、上げ下げの幅が少ない分大きなリターンも見込めない、“安全型”の商品だからです。

2.投資に使える資産が多いから

黒石さんは定期預金だけでも1000万円以上もあり、資産の3分の2は“守り”。残り3分の1は最悪、失っても痛手の少ない元本として思いっきり冒険してもいいでしょう。今はインフレでモノの値段が上がっています。相対的にお金の価値は下がります。1000万円も現金で持っているなら、毎年20万円とか30万円、お金を減らしていることに。定期預金を切り崩して、投資枠にシフトさせてもいいくらいです。

通帳とクレジットカードを見比べている女性の手元
写真=iStock.com/maruco
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3.投資期間が長い

黒石さんは、向こう20年は投資を続けられる年代。失敗も込みで投資は思いっきり攻めてもいいはずです。

もちろん、投資商品にはこだわらず、「とにかく積み立て投資さえしていればいい」という考えもあるでしょう。ですが、せっかくがんばって節約して残した大切なお金。きちんと増える運用していく方向で考えた方が有用ではないでしょうか。

そのためには、金融機関がすすめる商品だから安全安心と鵜呑みして、どんな性質のものかよく理解しないまま選ぶのではなく、例えば「日本と先進国周りをこれぐらい株式で買いたい」「これを買ったら日本の225社の日経平均株価指数に連動するんだな」などと、どこの投資対象を何で買うか、仕組みを理解した上で選んでほしい。

特に企業型DCは、デフォルトの設定が定期預金や保険などの元本確保型という会社が多い。黒石さんは違いましたが、「企業型DCをやっているのに全然増えていない」という方は、もしかしたら、自分で選ばず会社に任せたために、定期預金になっているのかもしれません。実際、2023年3月末で、企業型DCで元本確保型(預貯金・保険)のみで運用している人は、26.9%もいます。仮に、定期預金だけで運用していたら、手数料負け(運用成果よりも手数料が上回り、期待した成果が出ない、または損失)しているため1円も増えていないことになります。