このままではレンタカーの出る幕がなさそうなので、もう少し広げてモデルケースごとに検証してみよう。試算表を見た、とあるファイナンシャルプランナーはこう語る。
「表を見てもわかるように1回あたりの時間がごく短くて利用回数が多い場合は、レンタカーでは考えられないくらいの低料金で利用できるところに、カーシェアリングのメリットが集約されています。逆に長時間・長距離ならレンタカーと、目的に合わせて使い分けるのがベストでしょう」
確かにカーシェアリングは、家計に優しい選択だが、まったく利用しなくても月額基本料金がかかる点が要注意。また、予約開始時間~返却時間までが利用時間となるため、渋滞等に巻き込まれた場合を想定して、プラス1時間程度の余裕を見て予約するなどの細かい気遣いも必要となる。返却予定時刻までにパソコンや携帯で延長手続きをとらないと、無断超過分は通常利用料金の2倍になるうえ、次の予約が入っていて延長できないこともありうるからだ。さらに、レンタカーのように毎回点検整備・清掃された状態で貸し出されるわけではないので、利用者間のモラルが問われる面も。そのあたりを煩わしく感じる人には、レンタカーのほうが気楽かもしれない。
ちなみにレンタカーは、ネットで探せば大幅割引で使えるサービスもあるが、割引サービスを駆使してカーシェアリングのメリットである「ごく短時間・低料金」に対抗するよりも、レンタカーのメリットを活用する方向で割引サービスを利用するのが賢い方法といえる。カーシェアリングのデメリットでもある、車種の選択の幅が狭いところを補うときに、割引をうまく使えば出費を抑えながら自分のニーズに合わせた使い方ができるからだ。
両親と3世代で出かける際にはミニバンを、収納家具など大物の運搬には商用バンを、フォーマルな場では高級セダンをというように、場面ごとに多車種から選べるのはレンタカーの大きな魅力。
つまり、レンタカーが有利な場面では割引サービスをうまく使い、日常の短時間利用では、気軽に使えるカーシェアリングを選択すれば、両方のサービスのよさを享受できるということだろう。
※すべて雑誌掲載当時
竹岡 圭
東京都生まれ。会社員を経て、自動車評論家として独立。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員などを務める。