若手がホワイト化する一方で中間管理職に仕事が集中

近年の働き方改革やDX化の影響などで、多くの会社がホワイト化しつつあり、若手社員への理不尽な要求や過重労働は減ってきています。

しかし、私は多くの働く人たちの面談の中で、中間管理職が割を食っている印象を強く持っています。

目標が数値などで明確化されたことであいまいさがなくなったものの、達成できれば容易にハードルをあげられ、達成できない時はよりプレッシャーになります。

働き方改革の影響で労働時間の管理が厳しくなり、特に若手の労働時間は減りました。この補充はDX化だけでは足りず、多くの職場では上司たちの労働時間へ転換されています。

私生活や働き方などにおいて多様化する価値観を持つ部下たちへの個別対応を、定期的な1on1で行うことを中間管理職は求められていますが、ハラスメントにならぬようこなすことも暗黙のうちに求められています。

上司と1対1で会う実業家
写真=iStock.com/maroke
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このような中、中間管理職の人たちは、目まぐるしく変化するビジネス状況に対応するだけではなく、適応するために自分自身のアップデートもし続けなければなりません。最近はリスキリングという言葉でこれが明確に求められるようになってきました。

中間管理職が過剰なストレスを抱えていても全く不思議ではありません。

「有給休暇を毎年捨てていた」Bさん

Bさんは外資系金融に転職後7~8年目、40代中間管理職の男性社員でした。彼は約1年半休職しましたが、復職後は問題なく働いています。彼は休職中リワークプログラムに通い、そこで行った振り返りの内容を産業医面談で私に共有してくれました。

休職に至った原因を彼なりに分析すると、業務量と上司との関係、そして自分の性格があったとのことでした。

管理職だが、日々のルーチン業務、プロジェクト業務、部下のマネジメントの3つをこなしていた。慢性的な人手不足のため朝から晩までお昼休みも満足にとれず働いていた。体調が悪くても休みも取れず、医者にもいけなかった。チームとしての業務量、期限、質は落とせないため、メンバーの負担が増えないように自分で責任や仕事を背負い過ぎてしまった。部下たちの有給取得は許可したが、自分は取れていなかった。入社してから有給休暇を毎年捨てていた。