オリンピックを冷ましたオンラインの大衆化

懐かしいものです。たった12年前のロンドンオリンピックの開会式では、エリザベス女王自らがユニオンジャックのパラシュートで式場に降り立つというサプライズが演出されました。2012年から2024年。コロナ禍をはさむとはいえ、4年に一度の祭典がこれだけ冷えてしまった原因は、ひとえにオンラインの大衆化です。思えばこれも、コロナ禍の産物、でしたね。

オリンピック鑑賞の醍醐味は何か。競技のライブ性か、結果の即時性か、それとも筋書のない衝撃性か。いずれにしても、オンラインが非常に得意とする領域です。

いまや、オリンピック報道で真っ先に重要視されるのはカメラのアングルではなく、Wi-Fi環境が整っているか、です。

万人が待ち望む速報は、誰の手によるものかではなく、どれだけ速く、詳しく、正しいかということが求められ、通信手段さえととのっていれば誰もが等しく情報強者になれる。

セーヌ川の開会式にいたっても、さまざまなライブがオンラインにあげられることでしょう。いわば、ライブのオープンセールというわけで、公式スローガンの「Games wide open」もこうした事実をそっと言い当てているのかもしれません。

そうであれば、特に足を運んでパリに行かなくても、いつもの場所で手のひらで見るのが安上がりです。コスパ感覚とオンラインは相性がいい。そのうちテレビも要らなくなり、かつては競技時間をアメリカのテレビ放送に合わせていたというのが、ノスタルジックなエピソードになるでしょう。

チームワーク組織の概念
写真=iStock.com/ipopba
※写真はイメージです

浮世の風にさらされるオリンピックの宿命

今回のパリオリンピックは、「第33回夏季オリンピック競技大会」だそうです。

オリンピックが今後何回まで続くか知りませんが、ロサンゼルスで開催予定の第34回、オーストラリア・ブリスベンで予定されている第35回と、ますますオンライン上でオープンエンドに共有されていくでしょうから、開催地のコスト意識はこれまでの前例が意味を成さなくなります。IOC会長の接待費なんて、私たちが知る以上に浮世の風にさらされていくでしょう。それがオリンピックの宿命です。

はたして2032年の第35回夏季オリンピックのときには、日本人の何パーセントが興味を示すでしょう。なんだかんだいって70%ぐらいはいくかもしれません。日本人はお祭り好きなので。もちろん、この数字が当たっても外れても僕は気にしませんが。

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