米軍出身のMIT教授が語った「改革の成果」

同僚に権限を委譲することは、スピードだけでなく、パフォーマンスの向上、仕事への満足度の高まり、対人信頼感の深まりなど、他のメリットもある。

フランシス・フライ、アン・モリス『変化を起こすリーダーはまず信頼を構築する 生き残る組織に変えるリーダーシップ』(日本能率協会マネジメントセンター)
フランシス・フライ、アン・モリス『変化を起こすリーダーはまず信頼を構築する 生き残る組織に変えるリーダーシップ』(日本能率協会マネジメントセンター)

私たちは、勲章を授与された元中隊長エミリー・ハネンバーグに、デンプシー大将の真新しいリーダーシップの考えかたの影響についてインタビューしたことがある。10年間の兵役中にハネンバーグは見事に頭角を現し、「ミッション・コマンド」に携わる新たな将校を訓練するための、マサチューセッツ工科大学の軍事学教授に選ばれた。ハネンバーグは、部隊のパフォーマンス、士気、さらに、そう、スピードの向上を強調したが、何よりも注目すべきは、そのモデルによって兵士たちの自身の能力に対する認識が変わったことだと語った。

「私たちは当然のことながらより速く動くようになりましたが、もっとも大きな影響を受けたのは自信です。自分の影響の及ぶ範囲で人を率いることを任されると、自分にできるとは思ってもみなかったことができるのだとわかります。それによって、自分自身との関係が変わるのです」

より専門的でない私たちのことばで表現すると、こんなふうになる。チームをエンパワメントする方法を模索していると、スピードが訪れ、同僚は幸せになり、能力を開花させていく。

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