維新主導の政権樹立を目指すべき

いま、維新がすべきは、思いっきり現政権を批判して、立民に流れそうな無党派層を取り込むことだ。立民や国民民主との候補者調整もある程度はして、自公を過半数割れに追い込み、維新主導の政権樹立を目指すべきである。

状況は、1993年の細川護熙政権の成立時に似ている。総選挙で自民党は第1党だが過半数に及ばず、自民党と一部の党の連立や、自民党から渡辺美智雄氏などが離党して首相になるという噂もあった。

しかし、新生党の小沢一郎氏が根回しをして、野党第1党だった社会党の山花貞夫委員長でなく日本新党の細川代表を首相に担いだ。その前例にならえば、維新の馬場伸幸代表が首相になれる可能性もあるし、胸を張って政権を狙うべきだ。

あるいは、皇位継承問題での成案を一人で潰した頑なさがネックになるが、野田佳彦元首相といった立民や国民民主党のベテラン議員とか、それ以上に石破茂氏に代表される自民党の「非主流派」を離党させて首班にすることも可能だ。

維新はたとえば、次の衆院選までの憲法改正発議、企業団体献金の禁止、ベーシックインカムの導入、医療改革、道州制と「大阪副首都」など数項目だけを政治協力の条件とすればいい。もちろん、野党内で交渉がまとまるかわからないから、自公と連立も選択肢としては排除する必要はない。

大阪万博は絶対に成功させなければならない

維新にとって2025年開催の大阪・関西万博は、強みのはずが逆風になっている。ウクライナ危機で物価が高騰しているのは運が悪いが、計画が甘かったことも否定できない。

とはいっても、開催が近づいたら1970年の大阪万博ほどかは別として盛り上がりそうだ。能登半島地震の復興の支障になるという批判は、「『被災地を元通りに復興する』には異議がある…能登半島を生まれ変わらせる”創造的復興”」でも書いたように馬鹿げているし、この万博を成功させることは関西にとってとても大事なことであって、失敗に追い込んでも何もいいことはない。

南海電気鉄道の車両が大阪・関西万博のラッピングで彩られている
写真=iStock.com/winhorse
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維新が万博を成功させたいのであれば、大阪やその周辺であまり政治的冒険をするべきであるまい。他の党派による万博への批判を招くし、その支援団体の人々の万博へ行きたいという気持ちも萎えさせる。

とくに、これまで是々非々で維新による府政・市政に臨み、大阪都構想の住民投票でもいちおう賛成にまわった公明党の現職に対抗して、維新が対立候補を立てたのは、万博の成功にも、大阪都構想について捲土重来を狙うにもマイナスである。