身内の不祥事と万博批判のWパンチ

ところが、自民党が旧統一教会問題や裏金問題で自爆して窮地に立ち、批判することだけには強い立民や共産が生き生きとしてきた。

しかも、維新は議員や立候補予定者の「身体検査」が甘く、不祥事が続発し、大阪万博の赤字も心配されて、無駄を批判して成長してきた維新はしんどい状況になってきた。

最近の週刊誌などの衆院選予想では、自公は過半数の233議席を確保できるか微妙で、維新は50議席くらい、立民はその3倍の150議席ほど獲得する勢いとされている。

選挙演説中に手を振る候補者
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この事態を前に、維新幹部からは野党第1党を目指す発言は影を潜め、自公維連立もあるようなニュアンスの発言も出ている。

政治資金規正法改正について、公明と維新の要求を入れて修正した案が成立したが、公明は「自公連立の危機」といわれるほど抵抗し、自民党内で不満が爆発するほど厳しい「5万円超の政治資金パーティー券購入を公表する」という修正を吞ませた。それに対して、野党である維新は妥協する必要がないのに、分かりにくい妥協をした。

こうした経緯もあり、衆院選の前か後かはともかく、維新が連立政権入りを模索しようとしているとされているが、すこし前のめり過ぎる。

維新と自民の選挙協力はほぼ不可能

選挙前に連立入りしてしまえば、支持率がかなり落ちるし、それより深刻な問題は、選挙区の調整をどうするかである。

自民党と公明党のあいだでは公明党が候補者を擁立する9選挙区で自民党が候補者を立てずに公明党候補を推しており、この選挙協力をあと何選挙区か増やすかをめぐって厳しい交渉が行われている。

しかし、維新は小選挙区選出の現職議員が16人おり、党本部によると次期衆院選には159選挙区で擁立を決めているから、公明党と同じような自民との選挙協力は不可能である。

比例票で考えると、自民党と公明党の持つ票数はだいたい3対1くらいである。それを9つの小選挙区を譲ることと、比例で若干の協力をすることだけでよい、という自民党にとって圧倒的に得な条件で自公連立は成り立っている。

そのかわり、公明党の主張を尊重して政策が立案されることで、公明党の支持者は満足している。

また、公明党の閣僚ポストは国土交通相だけなので、衆参両院議員の合計が公明党とほぼ同じ維新は、それと同等以上の閣僚を出すことはできない。

しかも、衆議院小選挙区や参議院地方区で、公明党は自民党の得票数の20%以上の票を出しているとされるが、維新の支持者は党として自民党に投票するように呼びかけても指示に従うとは思えず、自民にとって公明と同等の価値はない。