あなたの体を蝕むサイレントキラー

糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、ある程度進行しないと、症状が出ません。そして、気がつかないうちに体内の血管や神経を蝕み、最終的には足を切断することもあります。糖尿病を疑うサインが日常生活のなかにもあります。その一つが、「喉が渇きやすくなる」ことです。

糖尿病の人が頻繁に水分を欲するようになるのは、尿のなかの糖分が増え、水を引き込んで尿の量が多くなり、その結果、脱水症状になってしまうからなのです。また、血糖値が高くて血液のなかの糖分の量が多くなると、いわゆる“ドロドロした血液”になります。その状態を放置すると、血液が固まったり、詰まったりするリスクが高まるため、脳が血液を薄めようとして「水を飲め」という指令を出すのです。

しかし、水分を大量に摂取しても、すぐに喉が渇いてしまうのが糖尿病の特徴です。そうしたときに水ではなくて、糖分を多く含んだジュースやエナジードリンクといった飲み物を口にすると、さらに血糖値が上がってしまい、脳は「もっと水を飲め」と追加の指令を出します。これを繰り返すと、血糖値がとんでもない水準まで上がって、昏睡状態で病院に運ばれることも。

また、糖尿病が進行すると、「目がかすみやすくなる」という症状が見られるようになります。目にはとても細かい血管が通っていて、その血管が糖尿病でダメージを受けると、目の網膜にうまく栄養が送れなくなり、目のかすみや視力の低下、そして“蚊”のようなものが視界に入ってくる「飛蚊症ひぶんしょう」が発生してきます。

目の不調が“一刻を争う事態”のサインに

糖尿病と同じように、目の異常としてサインが表れる病気として、「脳梗塞」があります。「一気に片目だけの視力が落ちた」「片目だけが見えなくなった」という症状が起きます。これを「一過性黒内障」と呼んでいます。

高血圧や生活習慣病などによって動脈硬化が進行すると、首の部分の頸動脈に血栓ができることがあります。その血栓が頸動脈から枝分かれしている目の動脈のほうへ飛んでいき、すっぽりはまり込んで目の血管を詰まらせ、栄養が届かずに視力が落ちてしまうのです。その血栓が脳に飛んで脳梗塞を起こす可能性もあり、一過性黒内障の症状が出たら、それこそ“一刻を争う事態”だと認識してください。

また、「いままでにないような頭痛や目の痛み」が、一晩で失明という重大な危機を招きかねない、「緑内障」のサインになっていることがあります。

緑内障は目の神経に障害が起きる病気です。その原因の一つに「眼圧の上昇」があります。目のなかには「房水」という液体が循環していますが、これが何らかの理由で滞ったり、せき止められてしまったりすると眼圧が上昇し、その圧迫で視神経が深刻なダメージを受けてしまいます。その際に頭痛や目の痛みを伴うのです。

特に、一気に眼圧が上がってしまう「急性緑内障発作」の場合、目がゴルフボールのようにカチカチになっていることがあります。そうなると、眼圧を下げる点滴や目薬による緊急の治療が必要になる場合があるので、すぐに眼科を受診することをお勧めします。

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※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。

(構成=伊藤博之)