何度でも言う それは寝不足じゃない!

24時間・365日絶え間なく働いている心臓がダメージを受けると、体のエネルギー源となる酸素を含んだ血液を、体のすみずみまで送り届けられなくなってしまいます。そうしたとき、最初に出てくる症状が「息切れ」です。いままで何でもなかった階段の上りだったのに、よく息切れするようになったら、心臓の病気を疑いましょう。単なる寝不足ではありませんよ。

また、息切れに「疲れやすさ」も加わるようなら、腎臓の機能低下も疑われます。腎臓は血液をつくる際に“サポート役”となる「エリスロポエチン」という物質をつくっています。腎臓の働きが悪くなってエリスロポエチンの量が減ると、新たにつくられる血液の量が減少します。その結果、「腎性貧血」が引き起こされ、息切れや疲れやすさといった症状が出てくるのです。特に、眼球の下の赤い部分の「眼瞼結膜」が白くなっていたら、要注意です。

さらに、心臓が悪い状態であると、全身の筋肉や組織に必要な血液が行き渡らず、「食欲のなさ」や「体のだるさ」など、元気がないときの症状が出てきます。それだけで心臓が原因とは断定できませんが、他のさまざまな症状と併せて判断することが大切で、循環器内科での受診をお勧めします。

また、夜に寝ていて「息苦しさ」を感じたり、「激しい咳」が出たりする症状を「夜間呼吸困難」といいます。心臓の動きが悪く、肺の血管から心臓へ血液を送っている部分で“大渋滞”が発生し、肺に水が溜まってしまうことが原因です。さらに、就寝中に無意識に起き上がって寝具の上に座ったり、壁にもたれたりする状態になることを「起坐呼吸きざこきゅう」といいます。座ったほうが呼吸が楽だと思うなら危険サインです。救急車を呼んでください。

内臓から遠い場所にも危険サインは現れる

また、意外な内臓の病気のサインは、内臓から遠い場所にある「足のむくみ」として表れてきます。心臓が悪いと、全身に血液を送り出す“ポンプ”としての機能がダウンし、血液の巡りが悪くなってしまいます。すると淀んだ血液は血管に開いている小さな穴から染み出してしまい、その成分が重力の関係で足のほうに下りてきて溜まり、足がむくんでしまうわけです。

足のむくみは腎臓が悪いときにも現れ、腎臓悪化の症状で最も有名なものになっています。腎臓の働きが悪くなって、体のなかに余分な塩分や水分が溜まると、それが血管の外に出ていくことによって、体の一部にむくみを引き起こします。そして、やはり重力の関係で塩分や水分が次第に足のほうへ下りてきて、足のすねの部分に溜まってむくみの症状として現れます。

さらに、肝臓の悪化が足のむくみに関係することもあります。肝臓が悪くなると、血液のなかのタンパク質がどんどん減っていきます。もともとタンパク質は水分を引き込む力があり、その量が減ってしまうことで、血液中の水分が外に逃げ出すようになり、足のむくみがひどくなることがあるのです。

心臓に腎臓、そして肝臓という重要な臓器の異常を知らせる足のむくみのサインですが、実際にむくんでいる場所を、指で10秒間押さえてから離してみましょう。そこに残った指の跡が消えるまで、40秒以上かかるようなら、要注意です。

放っておけない「大病の予兆」