一躍、人気脚本家となり有名作を手掛ける
唯一、イギリス出身の若いプロデューサー、ジョン・デイリーが立ち上げたヘムデイル社だけが、キャメロン監督、ゲイル・アン・ハード製作という条件を吞んだ。さらにオライオン映画も出資することになった。
オライオンはユナイテッド・アーチストのエグゼクティヴを辞めたマイク・メダヴォイとアーサー・クリムが78年に立ち上げた新興スタジオ(ユナイテッドは80年に『天国の門』で崩壊する)で、アン・ハードとコーマン学校で同期だったプロデューサーが働いていた。予算は640万ドルと低予算だったが、キャメロンは自分の映画が撮れることになった。
『ターミネーター』の評判のおかげで、キャメロンのもとにはシナリオの依頼が殺到した。なかでも高額の脚本料を提示したのは『ランボー』(82年)、そして『エイリアン』(79年)という二大ヒット作の続編だった。金のためにキャメロンはこの二つを引き受けた。昼間は『ターミネーター』の製作準備、夜は『ランボー2』と『エイリアン2』を同時に書いて、キャメロンは一睡もしないで働いた。
『ターミネーター』の撮影に入る84年、キャメロンは、ずっと彼を待ち続けていたシャロンと正式に離婚した。キャメロンは「すべて僕が悪いから、どんな償いもする」と言ったが、シャロンは断り、形式的にたった1200ドルだけ受け取った。
「まだ、ジムを愛しているから」
『ランボー2』と『エイリアン2』の共通点
『ランボー/怒りの脱出』(85年)と『エイリアン2』(86年)は非常によく似ている。『〜怒りの脱出』は、前作で警官隊や州兵とたった一人で戦って生き延びたランボー(シルヴェスター・スタローン)が、ヴェトナムに今も残されている米軍捕虜を救出する作戦に無理やり参加させられる。
『エイリアン2』は、前作でエイリアンとの死闘の末、たった一人で生き延びたリプリー(シガーニー・ウィーヴァー)が、エイリアンに襲われた植民惑星に残された人々を救出する作戦に無理やり参加させられる。
ランボーは協力者のヴェトナム人女性を愛し、彼女が殺されたことで戦いの目的を得る。リプリーは生存者の少女を発見し、彼女を守るためにエイリアンと徹底的に戦う。また、主人公に任務を与えた軍が、最初から主人公を利用しようとしていたという展開も同じだ。