リーダーは、メンバーに明確な方向性を示し、モチベートし、最低限のシステムアップができたら、実行はメンバーに任せてしまうのも1つの方法だ。そうすれば、リーダーは大半の時間を新たなシステムづくりに費やすことができる。メンバーのモチベーションがダウンしていると見れば、活気づけるしくみを考える。メンバーとコミュニケーションを取りながら、リーダーがチーム環境を整え、メンバーに実行を任せるのが最も効果が高い。
6つの切り口がある中で、軽視されやすいのが「適切な人材開発」である。人材開発部門の指示がないかぎりは、メンバー育成の明確なシステムを設けないリーダーは意外に多い。新人や若手社員の育成は、チーム内にOJTリーダーを任命し、丸投げするのがせいぜいである。チームの人材育成についてもリーダーが責任を負い、OJTリーダーはあくまでサポート役と捉えるのが望ましい。その前提でリーダーは人材育成システムを構築する。
組織のシステムは常に、最重要目標との関わりで見直しをしていく必要がある。目標達成までの進捗状況、利害関係者のニーズや満足度の変化、ビジョン・戦略との関連性、経済的貢献度などが、システムをチェックする際の基準となる。
これらの状況を数値化し、一覧できるスコア・ボードの作成も継続的なシステムのチェックには有効である。
組織を整えるシステム創造は、リーダーの4つ目の役割である「力を解き放つ」(エンパワーメント)の準備であり、ここでの足場固めが、後述する「偉大なリーダー」の到達すべきサーバント・リーダーシップを可能にする。
(構成=伊田欣司)