ネガティブ思考も実は好奇心の一種
オーストラリア国立大学のウィリアム・M・ホワイトクロスは、好奇心の持つ力について調べた研究論文で、好奇心を次の2種類に分類しています。
(2)未知の事柄があることが不安で、不安解消のために答えを求める気持ち
多くの人は、(1)を好奇心と考え、(2)は「ネガティブ思考」的な枠で捉えているのではないでしょうか。
ネガティブ思考にはいい側面もあります。
ですから、ネガティブ思考に陥りがちな人も、必要以上に悲観的に捉える必要はありません。
ネガティブ思考から来る慎重さが、自分を助けるシチュエーションも確実にあります。
ただ、人間の脳はことばに引っ張られる生き物なので、「ネガティブ」ということばを考えたり、言ったりせずに済むなら、それに越したことはありません。
そこで、知らない物事に不安を覚えたり、答えられない問いがあったらイライラしてしまう気持ちを、「ネガティブ思考」ではなく、ホワイトクロスの言う「好奇心」だと捉え直すのです。
そうすれば、不安になりがちな自分と、より付き合いやすくなります。
「ワクワクしている」と口にして脳をだます
この捉え直しは、「リアプレイザル」とも呼ばれ、科学的にも効果がある手法です。
人間は前向きに興奮しているときも、不安に怯えているときも、胸がドキドキしたり、汗ばんだりします。
脳はその反応がポジティブなものか、ネガティブなものかはっきり分かっていないところがあります。
なので、たとえば、ハーバード大学のアリソン・ウッド・ブルックスの研究では、本当は緊張していても、「私はワクワクしている」と、ことばに出したり思ったりすることで、パフォーマンスが上がる結果が出るそうです。
ぜひ、自分は不安になりやすい性格だと思っている方は、「好奇心が強い」のだと言い換えてみましょう。
そのうえで、(1)「未知の事柄があるとき、前向きに知りたいと望む気持ち」である好奇心の力を得るために、意識的に新しいものに手を出してみてください。