逆に、好奇心がきっかけでまったく新しいことを見つけたり、思いがけない出来事に出会うこともあります。
実際、好奇心旺盛な人ほど成功する可能性が高い、すなわち、新しいものに飛びつくことが運気を上げることを示す研究があるからです。
レディング大学のジェニファー・キング・L・ラウらの研究では、マジックなどを見せたあとに、「不快な電気ショックを受けるかもしれないが、それでもそのタネ・答えを知りたいですか」と聞く実験を行いました。
結果、好奇心旺盛な人ほどそのようなリスクがあっても知りたがる、積極的に賭けに出る傾向があったということです。
知的好奇心がある人ほど学業で好成績を残せる
また、チチェスター大学のソフィー・フォン・スタムらは、天才を調べた過去の研究をメタ分析し、知的好奇心がある人ほど学業面でのよいパフォーマンスが出せるということが分かりました。
賢さや努力と同じくらい、この好奇心も大事なわけです。
これは、考えてみれば至極当然の理屈です。
さまざまな可能性に満ち溢れる人生の中で、家族や恩師が敷いてくれたレールの上を走るだけで、自分が成功できる可能性が高い場所に辿り着ける人は、それこそ、よほど幸運な人に限られます。
そこから、自分の意思でレールを降りるにしても、自分により合った別のレールを見つけるにしても、簡単なことではありません。
別の新しいレールだって1本ではありませんし、その選択肢を広げるうえでも、いろいろな物事やジャンルに興味を持つ好奇心が大切です。
生まれつき慎重なタイプでも挑戦は習慣化できる
ただ、リスクがあっても、恐れずに新しいチャレンジができる性質を「新規探索性」と言うのですが、この性質はかなり大きな割合で、遺伝で決まるものとされています。
つまり、もともと新規探索性を持っていない人もいるので、できるだけ、意識的に「新しいものに飛びつく」のが、運気を上げるアクションになるわけです。
コンビニや行きつけの飲食店などで、新商品・新メニューを見つけたら、とりあえず試してみる。
ChatGPTのような、無料で使える話題のものが登場したら、とりあえず試してみる。
そんな意識を持ち、習慣化できれば、生まれつき慎重な方でも、それはそれとして、「自分はチャレンジを恐れない人間だ」と脳を騙せます。
さらに、慎重な性格でも、「チャレンジするほうが成功しやすい」と理解し、信じられれば、よりよい人生のために勇気を出すこともできるはずです。
基本的に人間は、いろんなことをやっているうちに、自分の好きなもの、自分に合ったものを学んでいく生き物です。
だから、猫はともかく、好奇心は人を殺さないのです。
それどころか、その可能性を広げるきっかけとなってくれます。
さらに言うなら、「好奇心」という言葉の定義を広げれば、危険と隣合わせで生きる人であっても、好奇心が重要な存在と考えることも可能です。