3つのプロセスで異なるマーケティング施策を行ってきた
商品提案だけでなく、プロモーションを通じた情報提案も重要だ。クーリッシュの宣伝では、テレビCMをはじめとしたマス広告が重視されてきたが、その情報発信が若年層に十分に届いていないという調査結果を受けて、Xでは「青春」や「面白系」、Instagramでは女性向けの企画など、ブランドSNSアカウントを通じたコミュニケーションを活発化させている。クーリッシュを素材として自由な創造力を発揮してもらう形で、SNSのクリエイターやインフルエンサーとのコラボレーションの活用も数多く行われている(※13)。
このように、クーリッシュが「アイスのイノベーション」になるまでの道のりには、「作る」「広める」「飽きさせない」の3つのプロセスがあり、それぞれに異なるマーケティングを実行することで成功が導かれてきた。イノベーションは画期的な「作る」を実現するだけでは成功に至らない、という教訓を教えてくれる好事例といえるだろう。
【参考文献】
※1 ロッテ「業績」を参照。
※2 消費者関連専門家会議「消費者志向トップインタビュー 第24回 株式会社ロッテ 代表取締役社長執行役員 牛膓栄一氏(2023.3.15公開)」を参照。
※3 ロッテ「ロッテノベーションの歩み」を参照。
※4 アスキーグルメ「クーリッシュの常識を超えた進化系『クーリッシュデザート』が登場! なにがスゴイのか聞いてきた」を参照。
※5 ロッテ「渡辺真理さんが聞く 商品開発ここだけの話 飲むアイス『クーリッシュ』のおいしさの秘密」を参照。
※6 bizSPA!フレッシュ「当初は『売れない』と酷評。ロッテのクーリッシュ、唯一無二な存在感の秘密」を参照。
※7 ITmediaビジネスONLINE「V字回復しつつある『クーリッシュ』のフレーバー展開が面白い」を参照。
※8 おとなの週末Web「クーリッシュブランド初のアルコール製品『クーリッシュ フローズンサワー』誕生 開発秘話を担当者に訊いてみた」を参照。
※9 ロッテ「パッケージLABO」を参照。
※10 日経XTECH「企業と顧客に横たわる溝」を参照。
※11 大人んサー「ロッテ『クーリッシュ』、季節によって味が違うのは本当? “真偽”を直撃」を参照。
※12 食品産業新聞社ニュースWEB「アイス『クーリッシュ』落ち込み挽回へ、“ほぐれやすく”改良、瞬間的クールダウンをアピール/ロッテ」を参照。
※13 DIGIDAY「ロッテのクーリッシュ、いまだからSNSで『密』につながる:壊滅的なリアル施策の代替に」、テテマーチ「事例紹介 株式会社ロッテ/クーリッシュ」を参照。