季節ごとに微細氷のサイズを変えている
「飽きさせない」
こうしてクーリッシュは「アイスのイノベーション」として普及した。ただ、定番の人気商品になってからも、なかなか油断はできない。毎年、無数の新商品が発売されて人気を脅かしてくるし、消費者の好みやニーズも変化と多様化を続けるからだ。イノベーションとして定着し続けるためには、「消費者を飽きさせない取り組み」を重ねていくことが求められる。
クーリッシュは、バニラ、ベルギーチョコレート、カルピスの3商品をレギュラー展開しており、これらの味の改良に取り組み続けている。その取り組みの1つが、季節ごとの味の変化だ。春・秋と比べて、夏に製造する商品では、微細氷のサイズを大きくして、食感やクールダウンを強めに感じる味に変えている。逆に、冬の場合は、微細氷を小さくすることで、より滑らかで濃いめの味わいが楽しめるようになっている。季節ごとのニーズに合わせてアイスの原材料の配合を変え、季節ならではの味を楽しめる工夫を凝らしている(※11)。
「飲むアイス」としてのターゲットやシーンを拡大
レギュラー展開の中で1番人気のバニラは、特にこだわって、アイスを飲むときに甘さよりも先にバニラの香りが感じられるように、試作を重ねて改良した商品だ。「改良後の方が圧倒的に美味しい」という評価を獲得するまで、消費者テストを3回行い、1年以上かけて改良に挑んだという(※5)。
消費者に新しい刺激を提案する、期間限定フレーバーも積極展開されている。これまでに、「とろけるマンゴー」「メロンソーダフロート」「白桃」などの人気フレーバーをはじめ、約80種類にも及ぶフレーバーが商品化された(※6、7)。アレルギーを気にせずに飲めるよう、乳製品不使用で、豆乳とえんどう豆由来の植物性ミルクを使い、隠し味の醤油で旨味を高めた「グリーン」シリーズも好評だ。
クーリッシュの利用シーンを拡大させる提案も進められている。子どもがこぼさず、汚さずに食べやすいアイスとしてアピールするCMやSNSを展開したり、夜のご褒美アイスとしての「デザート」やアルコール入りで大人向けの「フローズンサワー」を期間・販売箇所限定で展開したりするなど、飲むアイスとしてのターゲットやシーンの幅を広げる施策が重ねられている(※4、8、12)。