大谷翔平の「6万個のグラブ」が訴えかけるもの

2023年11月、子供たちが憧れる二刀流スター・大谷翔平(ドジャース)が、日本全国に約2万ある全小学校にジュニア用のグラブを3個ずつ、合計約6万個を寄贈しました。右利き用2個、左利き用1個という配慮もされたサプライズでしたが、子供たちは大喜びだったそうです。

こういった活動は、現役のプロ野球選手やOBにとって素晴らしい参考例となりました。例えば、日本にある全小学校ではなくても、出身小学校や地域などに道具を寄付することもできるでしょうし、出身チームへの入団を決めた子供に初めての道具をプレゼントするサポート制度を作ってもいいかもしれません。

井口資仁『井口ビジョン』(KADOKAWA)
井口資仁『井口ビジョン』(KADOKAWA)

また、企業の場合、これまでは大会スポンサーとなって大会運営費などを負担する形で、子供たちが野球を楽しむ環境をサポートすることが多かったと思います。しかし、大会スポンサーとして他企業と一緒に名前を並べるのではなく、本社を置く地域にあるチームにそれぞれ足りない道具を寄付したり、野球未経験の子供たちが参加するイベントで道具の割引購入券を配布したり、新たな形でのサポートに取り組むことで他の企業との差別化を図ることもできるのではないでしょうか。

僕自身も実際にはどのような取り組みができるのか、まだまだ考えていかなければなりません。それでも、まずは野球の現状と自分の考えを広く伝えることで、思いを共有する仲間を増やしていくことが大切です。1人の力では不可能なことでも、2人、3人……と集まれば、何か大きなことを成し遂げられるものです。

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