万が一、収入が途絶えたとき、乗り越えられるかどうかは、メンタル面の強さなどももちろんあるが、「当座をしのぐ貯金があるかないか」に大きく左右されるものだ。

収入がゼロになってしまったとき、安心できる貯蓄額の目安は、最低月収6カ月分。できれば、1年分の収入を貯められるように頑張りたい。

Eさんの場合も「浪費」の部分をできるだけ「投資」に回す生活をして、1200万円の貯蓄を目指そう。

長男はすでに私立高校に進学したようだが、教育費と老後資金を並行して貯めていかなければならないことを考えると、今後は慎重に進学先を検討する必要があるだろう。

文部科学省「平成20年度子どもの学習費調査」によると、私立中学へ進んだ場合の教育費は年間123万円だが、公立だと年間48万円で済む。3年間で225万円の差が出る。さらに、私立高校へ3年間通った場合と公立高校へ3年間通った場合の差額は141万円。中高合わせて336万円にもなってしまう。

自営業者は年金は少ないが、定年退職がないのが強み。夫婦で踏ん張って、できる限り長く働くことだ。

■「自営の罠」シンドローム

【症状】年収1000万円以上の高収入家庭に発生しやすく「支出を減らすより、収入を増やしたほうがいい」を信条にしたとたんに発病する。自営業の場合は、会社のお金と家計の区別がきちんとできていないという合併症も発生しやすい。
【処方箋】
いつまでもいまと同じように稼げるとは限らない。不安定な傾向がある自営業や外資勤務の場合は高収入でも要注意である。特に自営の場合は年金もサラリーマンより少ないため、老後資金はしっかり確保。

■「価値観のずれ=家計のずれ」症候群

【症状】高収入でありながら、夫婦の価値観、家計感覚がすり合わされていないことからじわじわと発生する。お互い「どこがおかしい」かがわからず、罪悪感なく使っているので、本来貯まるものもまったく貯まらないという悲劇に見舞われる。
【処方箋】
まずはお金をどうしたいのか、老後をどうしたいのか、価値観をすり合わせよう。どうしても合わない場合は、話し合って「落としどころ」を見つけることで一気に回復に向かうことも。

家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー 横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5200人以上の家計を再生した実績を持つ。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がシリーズ37万部のベストセラーに。
(構成=八村晃代 撮影=アーウィン)
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