ただ、Eさんの場合は投資と浪費が紙一重な部分があるようだ。何より会社の財布と自分の財布をきっちり分けていないのがマズい。

夫の小遣いの中には、仕事の接待費も含まれていた。社員に振る舞う食費は経費、2台の車も社用で使っているなら経費として計上しよう。

「家計から使っても、会社から補てんされるからいいや……」といまのままの「ザル家計」を続けていると、ある日突然「破綻」ということもありうる。

以前は「来月、売り上げが300万円あるから、カードでその分使っちゃえ」などということもあったというが、そんな消費はもってのほかだ。

自営でも仕事場と自宅が別の場合はうまく支出を分けられるのだが、Eさんの場合は一緒になっているので「本当の年収」がわかりづらくなっている。

家計再生の第一ステップとして、何を経費として何を生活費とするか、話し合って決め、本当の年収を把握しよう。そのうえで、教育費にいくらかかるのか、老後にいくら必要なのか、夫婦で「現実を直視」すること。問題意識を夫婦で共有することで、金銭感覚のズレも縮まっていくのではないか。

ざっと見たところでも、浪費の傾向がある項目が7項目もある。いくら高収入でも、こんなお金の使い方をしていたら、貯まるわけがない。

私はこれまで多くの方々の家計相談に乗ってきた。相談者の共通点は「お金で苦しめられている」ことだが、そこへ至るまでの経緯は一つとして同じものではない。だが、原因を大きく分けると、ムダ遣いやギャンブルといった「浪費型」から、この景気低迷による「不況型」に分かれる。

「浪費型」は、実はさほど深刻ではない。お金を使わないようにすればいいだけだ。今後、もっとも気をつけてもらいたいのが「不況型」なのだ。

最近はリストラや会社倒産のリスクが高まっている。もしそうなった場合、生活費の不足分をどこから補うのか。

貯金がないことにより、自分自身をあきらめたり、騙されたりしやすくなる。そして普段なら決して手を出さない消費者金融でお金を借り、転落人生を歩む人もいるのだ。

特にEさんは自営業なのでサラリーマンに比べると収入が不安定なはずだ。