パネル廃棄のピークは2035年から2037年頃
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の予測では、太陽光パネル廃棄のピークは、2035~2037年頃であり、年間約17~28万トン程度、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%に相当する量と予測されている(資源エネルギー庁新エネルギー課「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルについて」2023年4月)。
無論、太陽光パネルの廃棄は事業者の責任で行うべきものだ。2022年4月施行の改正再生可能エネルギー特別措置法で、太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。稼働から10年が経過した出力10キロワット以上の設備などが対象で、売電収入から廃棄に充てる積立金が自動的に引かれる。
しかしながら、現状は、ガラス、アルミ、シリコンなどからなる太陽光パネルを安全に廃棄するには費用がかさみ、リサイクルコストも高く、「廃棄は円滑に進まないのでは」との懸念も根強くある。
倒産や業績悪化による不良債権化のリスク
発電事業終了後に適切な廃棄がされず放置される懸念に加え、例えば、災害、故障等により破損した設備を修繕しないまま事業を中断し、長期間放置するケースや、倒産などによりその後の事業が適切に継承されず、廃棄の責任の所在が不明になるケースなども今後想定される。
地銀または地銀「電力子会社」にとっては、この先、国のFIT制度(固定価格買取制度)の期間を終えた太陽光発電施設を買い取り、電力会社などに売電する事業も検討できよう。
一方で、融資や出資、支援などを行っていたこれら事業者が、売電価格の大幅下落などにより、業績悪化や倒産に陥ることが続けば、不良債権の増加や損失の計上に繋がり、地銀の経営体力を奪うことにもなる。
ちなみに、太陽光発電においては、窃盗事件も急増している。読売新聞によると、太陽光発電施設から銅製の送電用ケーブルを持ち去る窃盗事件が急増しており、「茨城は売電事業者の比較的大きな施設の数が全国で2番目に多い。昨年の窃盗被害は前年の2.6倍に増えた。被害は群馬や栃木、千葉でも相次ぐ」という(読売新聞「太陽光施設は窃盗団の「宝の山」、無人で防犯手薄…ケーブル盗急増で再エネ発展阻害の恐れ」2024年5月6日)。
窃盗被害増加は、防犯対策の強化や損害保険料の上昇など、事業者負担の増加に繋がり、経営にも悪影響を及ぼすことになる。