太陽光発電を巡るトラブルも多発している

一方で、太陽光発電を巡るトラブルが多発しているのも事実である。再生エネルギー事業に関して、特別な技術やノウハウがある訳でもない地銀が、わざわざかような市場に、新たに参入するのは「リスクが高いのでは」という声もある。

総務省による前出の調査結果によると、回答が得られた市町村の約4割で、太陽光発電設備に起因するトラブル等が発生しており、同じく回答が得られた市町村の2割弱で、未解決のトラブル等がある状況だという。

総務省が把握した主なトラブルには、設備の敷地から泥水や雨水が流出、施工内容と許可条件との相違、地域住民への説明不足、開発場所に関係する災害発生、騒音、反射、景観悪化等の懸念、のり面の崩壊や設備自体の損壊、雑草繁茂による通行の妨げや害虫の発生、火災発生の懸念、柵塀の未設置又は不適切な設置による通行者等への危険の懸念、標識の未設置等による緊急時の発電事業者等の連絡先が不明等、多岐にわたっている。

なお、総務省は、発電業者による法令違反等の状態が改善されない場合は、発電業者への交付金の留保など必要な措置を的確に実施するよう、経済産業省に改善を勧告している。

クレームに対応する人
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FIT終了で太陽光パネルが大量に廃棄されるおそれ

2012年7月、政府が再生可能エネルギーの普及を目指し、太陽光パネルなどで発電した電気の全量を電力会社に買い取らせるFIT制度(固定価格買取制度)を開始したことにより、再生エネルギー事業に参入する事業者は大幅に増加してきた。

資源エネルギー庁新エネルギー課「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルについて」(2023年4月)によると、特に、設置しやすい太陽光発電の電源構成に占める割合は、2011年度0.4%から2021年度8.3%に拡大している。

しかしながら、間もなく右肩上がりの市場は転機を迎えることになりそうだ。なぜなら、FIT制度による買い取り期間は10キロワット以上の設備で20年間と定められているからだ。また太陽光パネルの寿命は20年から30年程度とされる。

つまり、2032年には、初期に参入した事業者向けの電気の全量買い取りが終了することになる。売電価格が大幅に下落することで、事業が行き詰まったり、寿命を迎えることで、太陽光パネルが大量に廃棄される可能性があるのだ。