遠慮のない物言いで相手を傷つけてしまう「モラハラ」

親しい間柄であるがゆえに、つい遠慮のない物言いで相手を傷つけてしまう「モラハラ」(モラルハラスメント)と呼ばれるものもあります。フランスでは法律で禁止されていますが、日本で法的な措置はありません。ただし、職場におけるパワハラの原因となる可能性があるので注意が必要です。

職場におけるシチュエーション別の「ハラスメント発言」や、グレーゾーンの「不適切発言」の事例を具体的に紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【図表】シーン2 指示する、お願いする

部下との心理的な距離感が正確かどうかチェック

パワハラは、上司から部下に対して行われるものとは限りません。パソコンの操作を苦手とする上司が部下に教えてもらう場合、部下は上司に対してパソコンの操作について優越的な立ち位置にあります。そのことを背景に上司をなじるような言動をすると、逆方向のパワハラが成立します。

それと、部下との心理的な距離感も重要です。人間誰しも付き合っているうちに、相手に対してさまざまな思い込みを抱くようになります。上司であるのなら、普段からコミュニケーションが密に取れていて、「自分のことをよく理解してくれているはずだ」と思っている部下が、1人や2人いてもおかしくないでしょう。しかし、チーム全体の士気が落ち込んでいるようなときに、そうした部下に白羽の矢を立てて、少しきつい言葉で叱咤激励しったげきれいをしたところ、「それはパワハラです」と想定外の反発を受けることがあります。上司が思っているほど心理的な距離は近くなく、部下は苦痛を感じてしまったのです。そうならないためにも、自分が抱いている一人一人の部下との心理的な距離感が正確かどうか、絶えずチェックするように心がけましょう。

【図表】シーン3 ほめる