「学生が1人しかいなかったからよ」と小池氏は答えた
しかし、私も海外の大学で勉強しており、自分の体験から「首席卒業」というのをどうしても信じることができなかったので、ある日、その疑問を質してみた。すると、彼女は、「それは学生が1人しかいなかったからよ。だから、首席でもあるし、ビリでもあるのよ」と笑いながら答えた。
大学院ならまだしも、大きな大学の文学部社会学科で学生が1人ということはありえない。しかし、エジプトに関する知識をほとんど持ち合わせない当時の私は、「発展途上国の大学とはそういうものか」と彼女の言を信じてしまった。
私は、自分の本に、「パリ大学首席卒業」などと嘘を書く勇気はない。
「非常に生徒数も多いところ」小池氏の矛盾
しかし、35年後に、小池氏は私に嘘をついていたことを公の席で明らかにしたのである。
以下は、2018年6月15日の都知事記者会見の記録である。
【記者】では、首席卒業されたということは、はっきりと断定はできない、難しいというところがあるということでしょうか。
【知事】非常に生徒数も多いところでございますが、ただ、先生から、「非常に良い成績だったよ」とアラビア語で言われたのは覚えておりますので、嬉しくそれを書いたということだと思います。
学生数は1人ではなく、「非常に生徒数も多い」と言い、「首席」ではなく、「非常に良い成績」だったと言う。41年前私に言ったのは真っ赤な嘘だったということだ。
たとえビリであっても、小池氏がカイロ大学を卒業したということ自体、私には信じがたい。