「本当はムリをしているのに、頑張り続けるほうがラク」な状態

「そんなのあたりまえじゃないか」と思われるかもしれませんが、実際にこれを適切に行なえている人は、あまり多くありません。

世の中の大半の人は、

「仕事が落ち着いたら休もう」
「休めるときがきたら休もう」

と考え、“能動的に休む”ということができていないのです。

たしかに、まだ一段階のやる気満々の時期なら、無休で走っても、多少のムリはききます。体力・気力にも余裕があるので、「この辺で休もう」と判断することもできるでしょう。

ですが、本当に「休み」が必要となる二段階、三段階に突入すると、思うように仕事が進まないために、

「何か調子が出ないなあ。能力が足りないのかも」
「成果も出ていないのに、休むわけにはいかない」
「ここで休むとみんなに迷惑をかけるし、不要な人材だと思われそう」

と追い詰められます。

結果的に、思考が停止してしまい、

「本当はムリをしているのに、頑張り続けるほうがラク」

という状態になってしまうのです。

“機械的に”自分を休ませる方法

ですから、休まなくても大丈夫なうちに、

「休むことを計画に組み入れてしまう」

ことが必要になります。

「12月の第一月曜日は絶対に休む」

といった具合に決め打ちしてしまうのもいいですし、一年のはじめに、その年の有給休暇をバランスよく振り分けておく、といったやり方も考えられるでしょう。

カレンダーの20日月曜日に丸をつけて有給と書く
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

ここでも、

「なるべくシステマティックに自分に休みを取らせる」

ということが、とにかく重要になります。

ちなみに自衛隊では、一つの戦場で一定期間の戦いを終えると、弾薬と食料を補給し、疲労のリカバリーを行ないます。そのときに

「君、休みか。体が空いてるね。あちらの戦場に向かってくれ」

なんてことは絶対にいいません。

なぜなら、

「自分にはわからない疲労がたまっているのだから、解消しておかなければいけない」

ということを、きちんと理解しているからです。

もちろん、すべての職場が自衛隊のような考えを持っているわけではない、ということは重々承知しております。

休みを先に決めておいたが、急な案件が入り、出社しなくてはいけなくなった、といった個人の力ではどうにもならない事態に直面することもあるでしょう。

しかし休みに対する認識を改め、“主体的に”それを取り入れようと心がけることは、誰にでもできます。

「休みたいのに休めない」

ふと、そんな思いが頭をかすめたら、その思考のスイッチを切りましょう。そして、

「まだ休まなくて大丈夫だけど、だからこそいま休んでおこう」

と自分にいい聞かせてください。

それが、あなたの心身を守ることにつながります。