国産小麦は「赤かび病」の発生リスクが高い
国内では、アフラトキシンだけでなく、デオキシニバレノール(DON)も小麦において基準値が設定されています。大量摂取すると嘔吐や下痢、につながり、慢性的な長期摂取は体重増加抑制、免疫抑制などが見られます。
農林水産省は「麦類のデオキシニバレノール・ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」を策定し、生産者などを指導しています。赤かびがデオキシニバレノール・ニバレノールを産生するため、赤かびに強い品種を選ぶことや麦類栽培時の適切な農薬使用、収穫後の乾燥等のマニュアルが詳しく示されています。
国産小麦は、天候が高温多湿で赤かび病が発生しやすく、輸入小麦に比べてデオキシニバレノール・ニバレノールの汚染が高くなりがち。昨年、岩手県産の「ナンブコムギ」で自主検査によりデオキシニバレノールが6.1ppm(mg/kg)の値となったサンプルがありました。基準値は1.0mg/kgです。その結果、約710トンの小麦が回収対象となりました。
また、麦類にオクラトキシンAの基準値を設定すべく現在、内閣府食品安全委員会で食品健康影響評価が行われている最中です。
カビ毒を警戒しすぎる必要はないが…
これらのカビ毒が、日本で紅麹サプリのような急性の激しい症状につながることは考えにくいでしょう。なぜならば、摂取量が異なるからです。紅麹サプリは、抽出濃縮されたものを毎日食べるという健康食品の性質を背景に、かなりの摂取量が重ねられて起きました。
一方、アフラトキシンやデオキシニバレノールは、食品において基準値を超過していても、近年は急性の症状が出るほどの残留報告はありません。バラエティに富んだ食品を摂取しており、アフリカやアジアの諸外国のように汚染された食品を毎日食べる生活でもありません。
したがって、カビ毒による食品汚染をことさらに警戒しすぎる必要はありません。日本で流通する一般的な食品は、基準値が設定されているカビ毒については管理されています。小林製薬の紅麹サプリについても、同社がアフラトキシン類、オクラトキシンA、デオキシニバレノール等については調べ、問題がないことを確認している、とのことです。