0.077%の上昇…これを利上げというのは恥ずかしい

「マイナス金利解除」と大騒ぎして、市場金利はたったの0.003%の上昇。これではまずいと思ったのか、日銀はマイナス金利政策の解除だけではなく、政策金利をマイナス0.1%からプラス0.1%へと変更するゼロ金利政策の解除も同時に行った。

したがって決定会合翌日の無担保コールO/N物レートはプラス0.074%まで上昇した。しかしながら政策金利をマイナス0.1からプラス0.1%へと0.2%上昇させたのに、(市中金利の根幹である)無担保コールO/N物レートは決定会合前日のマイナス0.003%からプラス0.074%へとたった0.077%しか上昇していないのだ。

欧米では0.25%とか0.5%の上昇を利上げというのに、0.077%しか上昇していない。これを利上げと称するのは、恥ずかしい。

「これでは利上げとは言わないのではないか?」と私が参院財政金融委員会でお聞きしたら、植田総裁は「利上げは利上げですから」と答弁された。ならば私はこれから68kgの体重が67.9kgへと減量しことを、「ダイエットに成功した」と言うことにする。「減量は減量」なので。

利上げと大騒ぎしても実際は利上げでもなんでもない。だから為替が円高に触れなくても当たり前なのだ。

21日の参院財政金融委員会で、植田総裁は住宅ローン金利について「大幅に上昇するとはみていない」との見解を述べられたそうだ。当たり前だ。市場金利の根幹が0.077%しか動いていないのだから住宅ローン金利が大幅に上昇するわけがない。

日銀の印象操作に、アナリストやマスコミが大騒ぎしただけ

預金金利についてはどうか。19日の日経新聞「三菱UFJと三井住友、普通預金の金利を0.001%→0.02%に」には、両者が普通預金金利を現在の20倍に引き上がると書いてあった。しかし実態は0.001%が0.02%になっただけであり、0.019%上げるだけに過ぎない。

100万円を預金して年間10円となる受取金利が200円に上昇するだけで、蟻の涙が雀の涙に変わっただけだ。政策金利が0.2%上昇したのに、預金金利は10分の1程度の0.019%の上昇しかしない。無担保コールO/N物レート上昇幅の0.077%ほども動いていない。

これがアナリストやマスコミが大騒ぎした「マイナス金利政策の解除」の結果である。「マイナス金利政策解除」を「利上げだ」「日米金利差縮小だ」と大騒ぎしていた識者やアナリストは、あまりにみっともないと思う。YCCの解除といい、何ら実態のない言葉の遊びにすぎなかった。

たくさんの新聞
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なお私が前項の件に関し参議院財政金融委員会で質問したら、植田総裁は「政策金利」の定義を微妙に変えた」とお答えになった。今後は昔同様O/N 無担保コールレートそのものを政策金利と呼ぶようになるようだ。「何じゃ、それ?」だ。

日銀の都合のいいように定義を変えるのか?(筆者注:補完当座預金制度適用利率を政策金利としたのは円安誘導のために日銀がアグレッシブに金利を下げているとの印象を世界にふりまくための印象操作だったと私は思っている)「いずれ、銀行がフジマキに貸し出す金利を政策金利と呼ぶようになるのではないでしょうね」と嫌味を言っておいた。

打つ手の無くなった日銀は、印象操作という技巧に頼らざるを得ないほど追いやられていると私は思っている。