ピークと最後しか印象に残らない「ピークエンドの法則」

まさに9回二死からの逆転満塁サヨナラホームラン、サッカーなら残り3秒の決勝ゴールというほどの快挙ですが、心理学の面から見るとけっして単なる“ミラクル”ではありません。

先手必勝のところで「初頭効果」のことを説明しましたが、他人に与える印象としては、「ピークエンドの法則」が実証されています。

人間というのは一番楽しかったり、盛り上がったりした瞬間と、あとは最後しか印象に残らない(=他の印象は薄くなる)。

であれば、そのピークとエンドを一つに、最も強いインパクトを最後に与えることで相手の印象をコントロールできる、というのが「ピークエンドの法則」ですが、ここに挙げた例などはまさしくその最高の例と言えるかもしれません。

そして、この法則は(これほど劇的なかたちでなくても)皆さんも次の面接からすぐに応用することができます。

それは、採用側から面接の最後にしばしば発せられる「質問はありますか?」という問いかけへの反応です。

「給与や福利厚生、休日について尋ねる」は最悪

これに対し、多くの志望者がやりがちなのが給与や福利厚生のこと、休日について尋ねるというパターンで、私などから見れば「最悪」と言えるでしょう。

半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)
半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)

無難なところでは「特にありません」ですが、それではピークエンドの効果はまったく期待できません。

ここで返すべきは、ずばり「内定をいただいたとして、入社までに準備しておくこと、勉強しておくことはありますか?」という質問です。

多くの志望者が「与えられるもの」しか頭にない受動的な質問を発する中、それとはまったく逆に「与えるもの」を考えた能動的な質問をすれば、面接官は絶対に「ほう!」と驚きますし、それが最後に強い印象を残します。

面接は“先手必勝”と“ピークエンド”の組み合わせを意識し、思うような展開にならなくても最後の最後まで諦めず、逆に「うまくいきそうだ」と思っても絶対に気を抜かないことが肝心です。

例えば面接が終了した瞬間、つい気が緩んでしまい、雑な立ち上がり方で椅子を倒してしまうとか、退出の際にドアをバタン! と乱暴に閉めるとか、廊下に出るやいなやスマホで大声の会話をするなどは、最後の最後に悪い印象を色濃く残すことになり、場合によっては大逆転で不採用という結果を招くこともないとは言えません。

ことわざに「猿も木から落ちる」というのがありますが、それは木から降りる際、もう少しで地面に着くタイミングのことが多い、という話を聞いたことがあります。

真実のほどはわかりませんが、いずれにせよ「木から落ちる猿」にはならないよう、最後まで油断は禁物と自分に言い聞かせましょう。

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