超長生き時代は「便を見る力」を使いこなす

こうして病院や医師が充足するようになってきた我が国では、平均寿命が男性81.05歳、女性87.09歳(厚生労働省「令和4年簡易生命表」)と世界でもトップレベルの長寿国といわれるまでに伸びてきました。

石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)
石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)

現代における死因を多い順にみてみると、1位 がん(悪性新生物)、2位 心疾患、3位 老衰となっており、4位に脳血管疾患が続きます(厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計」)。

天寿を全うされた高齢者の解剖をすると、半分以上の方にがんが見つかるといわれています。つまりがんとは年齢を重ねることで起こりやすくなる、細胞の老化に伴う病気とも言えます。

心疾患や脳血管疾患は生活習慣病とも深い関係があるといわれていますが、僅かな血管の詰まりでも、長年かけて血管がボロボロになっていき、治療が難しくなります。

そのため、こちらも年齢を重ねることがリスクとなる病気です。そして老衰がすごい勢いで増えてきています。

人間はいつか天寿を全うして全員が死亡します。そう考えると、現代の死因上位は年齢に比例してリスクの高まる病気であることから、医療が発展してきた結果、おそらく人間の寿命が行き着くところまで長くなってきた時代だと言えるのだと思います。

そんな超長生き時代においては、感染症時代のようにすっと便を流すのではなく、いったん便を見ることでお腹や便の調子と向き合い、体調管理の一部として「便を見る力」を使いこなすことを提案していきたいと思います。

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