自分の便にどれだけ興味を持てるか

それと比べて、そもそも自分のうんこが普段どんな状態なのか、生活状態や体調によって、どのように変化するのかを知っている人は少ないでしょう。

仮に、便の形がいつもとちょっと違うなと思っても、熱っぽいとか風邪っぽいというようなわかりやすく表せる「言葉」がありません。言葉がないから、状況把握もしにくいんです。

けれど、自分の便に興味を持って見続けていれば、小さな異変に気づけるようになるかもしれないし、それを言葉で説明することができるようになるかもしれません。そのためにはまず、「うんこを見ること」を日常にしたい。

毎日、自分のうんこを見て、自分の「平便」がわかるようになってほしい。うんこを自分の生活や体調を振り返るきっかけにしてほしいのです。

この「うんこを見ること」、医学用語では「観便(カンベン)」と言います。カンベンをすることで直接的に大腸がんを見つけられるわけではありません。けれど便がいつもと違うということは、自分の体の中でいつもと違う何かが起きているのかもしれない。

そう意識できるようになるだけでも、腸の健康を保つためには大きな一歩です。そのためにも、若いうちから毎日のカンベン習慣を身につけていきましょう。

うんこの約80%は水分で食べカスは5〜10%

まずは「うんこ」は一体なんなのか、ということから話を始めましょう。

口から食べた食べ物は、「口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門」という道をたどってうんことして出てきます。おそらく多くの皆さんは口から入れたもののうち「水分がおしっこ」「固形物がうんこ」として出てきていると思っているのではないでしょうか。

それは間違いではないのですが、実はうんこを構成する成分の約80%は水分です。さらに残りの成分の3分の1が大腸菌などの腸内細菌の死骸、3分の1が古くなってはがれ落ちた腸粘膜の細胞、そして残りの3分の1が食物残滓ざんし

実はうんこの中で食物残滓、つまり食べ物のカスが占める割合は、ほんの5〜10%なんです。仮に一日のうんこの量を200gとすれば、食べカスは10〜20g程度ということです。

便が形成されるまでを表した図
出所=『便を見る力