都合よく仕事を押し付けられるようになってしまう

北米では、日本に比べると“ソーリー”はあまり使いません。なぜなら自分の非を認めたことになるからです。謝ることに関しては、日本人に比べてかなりシビアに考えられています。

こちらに長く住んでいると、ルールがあるような場所でも強く言った者が勝つという世界があることに気づきました。ビジネスシーンでも日常生活においても、「私はこうだ!」と自分の意見や意思をはっきり堂々と強く言った人が最終的には勝つというところがある気がします(もちろん日本でも接客業などにおいてお客様が理不尽な要求を強く言い通して、店側が折れるみたいなことはありますが)。

“Sorry”と安易に口にすることで、「この人、チョロそうやなあ」と、都合よく使われてしまうこともあるかもしれません。さらに職場であれば、何かを要求されたり、「頼めばやってくれる」と認識されたりしてしまうのです。私も、カナダでフライトアテンダントとして働き始めたばかりの頃は、自分にできないことがあると、つい“ソーリー”と言ってしまっていたのですが、そうすると変に舐められてしまうことを実際に経験しました。

日本では、謙虚さや素直さが美徳とされる文化がありますが、海外ではそれが、むしろ仇になることも多いと感じています。謙虚であればあるほど、それを相手の都合のいいように理解されてしまうことがあるのです。

「品がない」「偉そう」と思われる言い方とは

謝罪の意味ではなく、相手に許可を求めるような場面、例えば人混みをかき分けて進むときに、通してほしいという意思表示で用いる「すみません」は、“ソーリー”よりも“Excuse me”が最適です。あるいは、謝罪よりも感謝を伝える。日本語でも、何かしてもらったときには「すみません」よりも「ありがとう」のほうがいいといわれることがあると思います。ここはぜひ、“Thank you”と伝えてみてください。

そのほかに、機内でもよくあるのが“Please”をつけないケースです。頑張って英語で伝えようとするのですが、“Coffee”とか“Orange juice”とだけ伝えて、“プリーズ”をつけないことで、品がないように聞こえたり、上からものを言っているように聞こえたりしてしまいがちです。言われたフライトアテンダントがピリッとしているように見えることも稀にあるので、基本的には“プリーズ”をつけておけば間違いない、くらいに思っておくとよいかもしれません。

日本語でも一緒で、「オレンジジュースください」と言うのと「オレンジジュース」とだけ言うのでは、心証が異なりますよね。