サンフィリッポ症候群の治療に関する研究は進んでいる
豪サンフィリッポ症候群子ども財団によると、同一の欠陥遺伝子をもつ2人のあいだに(オリビアのような)サンフィリッポ症候群B型の子どもが生まれる確率は、およそ21万1000分の1だ。
現時点では、米食品医薬品局(FDA)が承認したサンフィリッポ症候群の治療薬や治療法はないが、オニールによれば研究は進められており、望みはある。
オリビアの両親は、娘が診断を受けて以来、臨床試験実施に向けた資金集めに邁進している。2022年12月には、クラウドファンディング「ゴーファンドミー」でキャンペーンを立ち上げ、これまでに42万3000ドルほどを調達した。寄せられた資金は全額、「501(c)3」という公益非営利団体に渡されている。調達され、サイト手数料等を除いた資金はすべて、サンフィリッポ症候群に苦しむ子どもたちのための治療法開発という、急を要する取り組みに投じられているという。
母エリンは本誌に対してこう語った。「オリビアの弟リアムはいま1歳10カ月だが、いずれは『オリビアのお兄ちゃん』という役割を果たすことになるだろう」
「オリビアは永遠の幼児になるのだから」
(翻訳:ガリレオ)
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら