視聴率推移から見えるもの

両ドラマは共にファンタジーと恋愛を扱いながら、視聴率の推移をみると大きな差がある。多くの連続ドラマに共通するように、「Eye Love You」は緩やかに数字を落としている。「君ここ」は、序盤に急激に数字が下がり、4話までに2割以上も視聴者がいなくなってしまった。

【図表】恋愛2ドラマの視聴率推移①
スイッチメディア「TVAL」データから筆者作成

両者の差は、同じようなファンタジーでも、ドラマの設定やストーリーの大胆さによるものが大きかった。そのあたりの事情は、SNSの投稿にも明確に表れている。「君ここ」はこんな感じだ。

「暗い・つらい・救いがない」
「まじで内容しんどすぎるよ」
「主人公が悲しい展開になるの今は無理」

かつてただ一人心を通わせた高校時代の先輩・太陽(山田裕貴)と再会した雨(永野芽郁)。ところが太陽が交通事故に遭い、自分の五感と引き換えに命を救うことを決断し、味覚や触覚などを一つずつ失いながら二人の恋愛関係を深化させるという物語だ。

「設定に無理があるよなあ」
「ファンタジー過ぎて、どうも集中できない」
「見なきゃ良かった過ぎる。私はこのつらさについていけない」

一方の「Eye Love You」は、「個人全体」のデータは緩やかに右肩下がりとなっているが、「特定層」では途中から急伸している。例えばF2(女性35~49歳)は、初回や2話は3.5%ほどだったが、4話以降で4%を大きく上回る回も出てくる。鍵を握ったのは、民放GP帯連ドラ史上初のヒロインを演じたテオ役のチェ・ジョンヒョプだ。

「ちょこちょこ韓流を見るワタシとしてはハマり出したー!」
「チックショー‼ ユンくん可愛すぎかよ!!!」
「私は韓流苦手なんだけど、eye love youは面白い」

ドラマの中でチェ・ジョンヒョプはヒロインの二階堂ふみに対して、臆することなく「そこのキョロキョロしてるかわいい人ー!」 「きみがいっちばんかわいいですよ」と話しかける。従来の日本の恋愛ドラマでは聞かれない甘いセリフのオンパレードが、F2中心にある種の女性たちのハートを鷲づかみにしたようだ。