「せめて“機会があれば紹介します”と付け加えたら」
「大谷さん自身が“なぜ自分のプライベートをそこまで教えないといけないの”と言っているようにも受け取られ、ドライな印象を与えかねません。せめて“機会があれば紹介します”と付け加えたら、もっと好感を持たれたと思います。(中略)
これから少なくとも10年間アメリカが生活の拠点。生涯で1000億円も貰う人の奥さんは『公人』といっていい存在だし、せっかくドジャースの報道が日米同時で前例のない盛り上がりなんで、大谷ファンとして、もうちょっと違う発表の仕方があったんじゃないかと違和感を覚えました」
今一人は江川紹子(ジャーナリスト)。
「一般論として、彼のような影響力や発信力を持つ『力のある人』が、一括りに『無許可の取材はダメ』と言ったことで、それを世間が鵜呑みにしてしまい、あたかもそれが普通だ、あたり前のことだと受け入れる風潮が作られていくのは、とても怖いことだと思うのです。
たとえば、ジャニーズ事務所における一連の性加害問題や、羽生結弦さんの結婚離婚の騒動を振り返れば、当事者である『力のある人』の側が、メディアに対して表や裏から様々な形で『無許可での取材』にブレーキをかけていました。ところが、蓋を開けてみればどうだったでしょうか。(中略)
つまりは『力のある人』が“許可のない取材をするな”と通達してきたところに、あえてメディアが取材をかけた。そのことで、世間が『力のある人』の発言について真実か否か疑うきっかけが生まれたわけです。(中略)」
ツーショット写真はいつ見られるのだろう
「メディアの大半は、大谷選手本人への取材が今後しにくくなる可能性も考えてでしょう、その指示に素直に従っているように見えますが、実際にまっとうなやり方で綿密な取材を行い、事実は事実として報じるメディアが出てくるかもしれません。それを批判するのは自由ですが、『無許可の取材』はけしからんと非難する風潮が蔓延するのは、危険なことだと思うのです」
メディア全体が大谷に忖度して実名報道を自主規制したとすれば、メディアの存在理由が問われるはずである。発言の影響力を考えれば、大谷も権力者の一人である。多くのメディアは、今回、大谷は野球選手だから追及しなかったけど、これが政治家や大企業のスキャンダルならやるというだろう。
だが、野球選手の結婚相手を報道することさえできないメディアに、さらに強力な権力者の追及ができるのだろうか。
大谷が自分の結婚で、両家の親族がメディア取材で煩わされるのは嫌だ、という気持ちはよくわかる。だとしたら、結婚については自分が全部話す、もし必要なら妻の名前も、ツーショットの写真も提供するから、周囲の人たちに迷惑をかけないでくれ。そう対応できなかったのだろうか。
“好青年”大谷翔平だからこそ、今回の結婚発表のやり方は、彼らしくないと思わざるを得ないのだ。
2人そろってメディアの前でツーショット写真を撮らせる日が早く来ることを期待している。