このまま隠し通すことなどできはしない
「大谷に嫌われたくない番記者は、仮に素性を知ったとしても、松井さんの時と同様に100%報じないでしょう。ただし、注目度では大谷が圧倒的に上回る。世界的スターなので、パパラッチのターゲットになる可能性が高い。通訳の水原氏が、松井さんの専属通訳のようにどこまで睨みを利かせられるか。ネットの普及で情報拡散に蓋ができない時代ですから時間の問題かもしれない」
先に書いたように、すでにネット上では実名・顔写真らしきものも上がっているのである。
もしそれが間違っているのなら、名指しされている当人にとっては迷惑どころの話ではない。人権・肖像権侵害で訴えられても致し方ないが、そういう話は今のところ聞こえてこない。
大谷のようなスーパースターの妻は“公人”である。それにメジャーにはさまざまなイベントがあり、チャリティーもある。そうした席には、夫婦同伴で出席することが当然だと考えられているから、隠し通すことなどできはしない。
翻って、マスメディア側が一斉に自粛することがいいことなのだろうか。そこに問題はないのか。
今から60年ほど前に、日本人のほとんどがファンだといわれた長嶋茂雄が、東京オリンピックのコンパニオンだった女性と結婚した。新聞主催の対談で長嶋が一目ぼれをして、知り合って40日後にスピード婚約したのだが、私が記憶している限り、妻の亜希子さんを隠そうとはしなかった。
一般人は「非公表の理由にはなりません」
もし今回、大谷が妻と一緒に報道陣の前に現れたら、日本中、いや、世界中で「おめでとう」の大合唱になったのではないか。
そうすれば、メディアがそれ以上の詮索をすることもなく、これから大谷夫妻は静かな私生活を送ることができたはずである。
私が危惧するのは、これまで大谷は、明るく爽やかで、自分の信じた道を突き進む好青年というイメージだったのに、今回、マスコミを「うるさい」人だといい、妻を隠したことで、そうしたイメージが変わりはしないかということである。
万が一、今季期待外れの成績で終わったならば、ドジャースファンならずとも、大谷への批判の声は、彼の妻へも向きかねない。
新潮の「結婚への10の”祝辞”」の中で2人が辛口コメントを寄せている。一人はデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)。
「大谷さんの結婚発表で気になったのは、お相手のことを『いたって普通の人』と説明したことに尽きます。
パートナーを『普通の人』と呼ぶのも微妙に思えたし、日本の芸能界では結婚相手を『一般人』だからと非公表にする傾向がありますが、アメリカでは著名人が結婚したら、どんな相手でも名前をハッキリ明かします。そもそもアメリカでは『一般人』に当てはまる訳語がなく、それが非公表の理由にはなりません。(中略)」