社外で通用するスキルをつけるには
社外でも通用する力を身につけるにはどうしたらよいか。誰もができるルーティン・ワークの割合を限りなくゼロにすることをお勧めしたい。それが不可能な場合は全体の仕事量のせめて1割から2割に抑えることだ。たとえば、私が新卒で入った大手メーカーで、各部門の人員状況を定期的に調べる仕事を任されたことがあった。定期的に発生する仕事だったが、2、3回やると勝手がわかり、私にとっては頭を使わないルーティン・ワークになったので、上司に頼み込んで担当を代わってもらったことがある。その代わり、私は職場で起きているさまざまな問題を探り、解決策を考える仕事に注力した。
もっとも、ルーティン・ワークとそれ以外の仕事に明確な線引きをするのは難しい。先ほどの仕事も、上から言われて数字をただ出すだけでなく、自分なりの問題意識を持つようにして取り組めば、ルーティン・ワークではなくなるのだ。
上司から「これをやってくれ」と言われた場合、ただ「はい」と応じるのではなく、「この仕事をやることで、自分にどんな付加価値がつくのだろう。あるいは、同じやるにしても、どんなやり方をしたら付加価値がつくだろうか」と、一瞬立ち止まって考えるべきだ。
結果、「どうやっても付加価値をつけることができないルーティン・ワークだ」という結論が出たら、勇気を出して断ってみよう。上司に怒られたり、周りから悪口を言われたりしてもあまり気にしないことである。その代わり、自分が得意と考えている分野で人の何倍もの成果を上げればいい。そうすれば悪口を言う人も尻尾を巻いて逃げ出すだろう。成果を出していれば、会社側もそういう人材をむやみに手放そうとはしない。
新卒採用時に大卒総合職という大きな枠を設け、そこで採用した人にルーティン・ワークから創造的な仕事まで、すべてを担当させる。これが日本型雇用の特徴のひとつだが、このやり方自体が無理で、現実との間にきしみが生じているのだ。だから、「こんなはずではなかった」と若いうちに辞めてしまったり、うつ病を発症したり、本心とは逆に「海外勤務希望」と自分を不自然にアピールしたりせざるをえなくなる。それを防ぐには、地域限定社員、職種限定社員、高い年俸が保証されるものの成果が出なければ解雇されるマネジメントコース社員といった具合に、入り口の部分を多様化すべきだろう。