1戸4~5億円はそれほど珍しくない

渋谷区渋谷で分譲された「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」(128戸)は、1953年に東京都が分譲した日本初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」を、旭化成不動産レジデンスが建て替えたものです。

「渋谷ヒカリエ」にデッキ直結のこのマンションは2020年7月に竣工し、1戸4億~5億円という超高額マンションとして大変な話題になりましたが、今やこの価格帯のマンションはそれほど珍しい存在ではなくなりました。

最近では、神奈川県横浜市内でも利便性の良い横浜駅前や横浜屈指の高級住宅街である山手町などのマンション価格が、平均で坪単価700万円台に突入しています。

こうした状況を踏まえると、超高額マンションはもはや「億ション」ではなく、「3億ション」とならざるを得ないのです。

そして、業界関係者が一様に口にするのは、こうした超高額マンションがとてもよく売れているという現実です。

タワマンは外装のデザイン性に限界がある

超高額マンションは、港区や千代田区あるいは渋谷区といった、都内でも有数の好立地にある点で、共通項があります。

売り出し中の物件の広告サイトを見ても、まず登場するのは物件が存在する街、エリアのイメージです。ネットなどでは、広告に記された宣伝文を「マンションポエム」などと揶喩しますが、これらの物件がある立地は誰しもが憧れるようなところばかりで、ポエムを書かずとも、すぐにイメージできます。

強調されるのは、立地によって多少の違いがあるにせよ、歴史や文化、銀座などに近い高級感や圧倒的な交通利便性、国際性などです。

次に強調されるのが、建物のデザインです。建物に関するデザインは大きく分けて外装と内装があります。外装については、中低層マンションでは、高級感を演出する石貼りの外壁、敷地内のランドスケープ、照明、そして重厚な窓サッシにも手抜きがありません。外装は、タワマンになると限界があります。高層部には重量の軽い素材を使用する必要があり、石を貼ることはできません。デザイン性に限界があるのです。