「叱る」のではなく、「ギャップ」を伝える
ネガティブフィードバックも、「叱る」ときと同じように、上司から改善が必要な部下に厳しいことを伝えると、最初は言われた部下は反発します。部下は自分に改善が必要だと認識していない場合も多く、上司から「予期せぬ変化」や「自分が望まない変化」を求められるわけですから、すんなり受け入れられないのは人として自然な反応です。
しかし、ネガティブフィードバックは、一方的な叱責や指摘に比べて、いったんは反発されても、やがて行動変容につながります。なぜでしょうか。それは「この成績じゃマズいよ」「なんであなたはいつも出来ないんだ」「もっと協調性を持って働いてくれ」などと結果や人格へのダメ出し、否定ではなく、「解決すべきギャップ」に焦点を当てて話し合うことから始まるからです。
組織内でのギャップは、「会社や上司の期待」と、「部下の現状や志向」のズレから生まれます。そのズレは、部下の成果や行動や発言など、目に見える形で現れます。まずは、この「ズレ=ギャップ」の正体を顕在化して対話の土俵に乗せることが重要です。
「もっとしっかりやれ」ではダメ
成長途上の若手社員のギャップの原因で多いのは、「能力のズレ」です。求められている能力を身につけていないため、期待される成果を上げられないでいます。
足りない能力は専門技術なのか知識なのか、語学力なのかコミュニケーション能力なのかITリテラシーなのか……。「何の能力が不足しているのか」「その能力をどう身につけるか」「その能力を高めるとどういうメリットがあるか」を具体的に考え、実践することができればギャップを埋めていくことができます。
表面上の成果不足だけに注目して、ただ「どうしてできないんだ」「もっとしっかりやれ」「この場合はこうしなさい」と叱ったところで、部下が足りないところに気づくこともなければ、持続的に成長することもないでしょう。