毎月返済額が1万円、2万円単位で増える

2024年2月現在、メガバンクのみずほ銀行の変動金利型住宅ローンの最優遇金利は0.375%だが、それが上昇すると返済負担がどれだけ重くなるのか試算したのが図表3だ。

0.375%であれば、借入額5000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は12万7049円。それが、0.5ポイント上がって0.875%になると13万8248円に、1.0ポイントの上昇だと15万0049円に増える。

金融機関では返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を35%まで認めているので、金利0.375%なら436万円の年収でOKだが、0.875%では474万円、1.375%だと514万円に増える。さらに、2.375%だと601万円、3.375%では696万円になってしまう。

実際の家計を考えると収入の35%を住宅ローン返済に持っていかれると家計はかなり厳しくなるので、25%程度に抑えておくのが安心といわれるが、そうすると必要な年収がいっそう高くなって、購入が難しくなってしまう。

そもそもの金利水準が高い固定金利型の金利が上がると、さらに影響は深刻になる。図表5にあるように、返済負担が大幅に増えて、必要年収も格段にアップしてしまうのだ。

【図表】金利上昇と毎月返済額、必要年収の変化➀変動金利型
【図表】金利上昇と毎月返済額、必要年収の変化➁固低金利型

金利上昇で融資を断られるリスクもある

短期間にそんなに上がるはずはないと考える人が多いだろうが、注意しておきたいのは、住宅ローンの金利は申し込み時の金利ではなく、引渡し後に融資金が下りるときの、融資実行時の金利が適用されるという点だ。

なかでも、規模の大きい新築マンションを購入する場合、販売開始から完成までに2年、3年とかかるケースがある。そうなると、その間に大幅に金利が上がり、申し込み時の資金計画を見直さなくてならなくなる可能性が高い。金融機関から融資額の減額を申し入れられ、その分、自己資金を余分に用意しなければならない。できないと融資を断られるといった事態が発生する可能性もある。

そうならないうちに、早めに購入に決着をつけるのが得策になるだろう。