「復元天守」の再現度に順位をつけると…
というわけで、これら6棟の外観復元天守の再現度に順位をつけると、竣工された時点では、以下のとおりだった。1位が和歌山城、2位が広島城、3位が名古屋城、4位が岡山城、5位が大垣城、6位が福山城。
しかし、近年、まず大垣城の外観が変更され、最上階の窓が戦前と同じ形状になり、豪華な装飾も取り除かれた。
そして令和4年(2022)には、福山城の外観も戦前に近い姿になった。北側には鉄板が張られ、真っ黒い壁面が戻った。真っ白に塗られた窓も銅板を巻いたように見えるようになった。最上階の色彩や窓の位置などもオリジナルに近づけられた。
歓迎すべきことだが、ただし完璧とまではいえない。鉄板こそ本物が張られているが、銅板が張られた窓枠や格子はアルミで再現され、最上階に露出した木部は、コンクリートを茶色く塗ってそれらしく見せている。
これらの変更を踏まえて順位をつけ直せば、1位が和歌山城、2位が広島城、3位が福山城、4位が大垣城、5位が名古屋城、6位が岡山城、といったところだろうか。
これらコンクリート造の天守は、名古屋城をはじめ老朽化が進み、木造での復元が検討されているものもある。その際、外観は忠実に再現されているのだから、わざわざ木造にする必要はないのでは、という声も聞かれる。
だが、どこまで忠実に再現されているのか、まずは天守ごとの違いを把握してみてはいかがだろうか。