ビジネス雑誌を読むだけで「上位3%」になれる

「日本人は勉強が好き」とよく言われますが、私はこれも疑わしいと思っています。

総務省統計局の2021年の調査によると、いまの日本には、ビジネスパーソンと呼ばれる人が約6700万人います。一方で、ビジネス雑誌の実売部数は、全誌合わせても60万部程度と聞きます。1冊を3人ほどが回し読みすることを考慮しても、読者の総数は200万人ほどと推計できます。

つまり、ビジネス雑誌を読んでいるのは、ビジネスパーソンのおよそ30人に1人にすぎません。言い換えれば、ビジネス雑誌を読むだけで、「30人に1人」になれるということです。

つまりビジネスパーソンの「上位3%」に入ろうと思えば、何の特別な努力もなしに入れてしまうのです。

東大に入れるのは、きわめて少数のトップエリートと思われています。東大に入る人は、単純計算で同学年人口の400人に1人ぐらいです。大学受験をしない人が半数いると仮定すると、実質的には200人に1人程度と考えられます。

それでも途方もなく大変なことのように感じられるかもしれませんが、前述のとおり、ビジネス雑誌を読むだけで「30人に1人」には自動的になれるわけです。あとは勉強のやり方を工夫すれば、トップエリートのレベルに入るのはそう難しいことではありません。

本書(『頭がいい人の勉強法』)のような勉強法の本は、ビジネス雑誌以上に読者数が少ないので、これを読んで実践するだけで「勝ち組」に入れる可能性は高くなります。

勉強法を変えると成功し、勉強が好きになる

どんなに頭がいいと言われる人でも、勉強のやり方を習っている人にはまず勝てないはずです。それなのに多くの人がやり方を求めようとしないのは、やり方を学ぶことによって成功者になるという経験をしていないからです。

私は1987年に『受験は要領』(PHP研究所)という本を上梓したのを皮切りに、和田式の受験勉強法の本を多く世に出してきました。それが売れるにつれ、「和田式受験勉強法は『ただ受験に合格すればいい』というやり方だから、大学に入ってから勉強しなくなる人間を量産しているようなものだ」と批判を受けるようになりました。

私自身も大学に入ってから勉強しなくなったクチなので、その批判もまったく的外れとは思いません。

しかし、ここにひとつ興味深い事実があります。

私が2000年に上梓してベストセラーとなった『大人のための勉強法』(PHP研究所)という本の読者の大半が、かつて和田式受験勉強法で大学に合格した人たちだったということです。

このデータはすなわち、「大学に入ったら勉強しなくなる」と予測されていた人たちの多くが、大人になってからも勉強法を求め、勉強しようとしていたことを実証するものです。

和田秀樹『頭がいい人の勉強法』(総合法令出版)
和田秀樹『頭がいい人の勉強法』(総合法令出版)

勉強法を変えることで成功体験をした人たちは、その後もやり方を求める。あるいは勉強を好きになるのです。

やり方を学ぶことによって成功したという経験をすることで、何かに行きづまったときにやり方を求めるという人生観を持つことができます。

これが勉強法を学ぶ最大のメリットなのです。

うまくいかなかったときにやり方を求めるということをすれば、大半のことは切り抜けられるはずです。そして、どんな時代や環境でも、しぶとく生き抜いていける人間になれるのです。

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