「花嫁」「パン」「出汁」の共通点

インド・ヨーロッパ語族に属する国々では古代、花嫁の仕事はほかに、パンを焼くことと出汁を作ることであった。

「花嫁」のbride、「パン」のbread、「出汁」のbrothはどれも印欧祖語のbhreu(泡立てる、グツグツ煮る、焼く)が基になっている。

broil(グリルの直火で焼く)、brew(醸造する)、breed(繁殖させる)、brood(卵を抱く)、braise(蒸煮する)、bribe(賄賂わいろ)などはゲルマン語経由で英語に入ってきた単語である。

このうち、bribeは物乞いにパンの小片を与えることが原義で、のちに役人に贈る「賄賂」の意味に変化したものであるという説があるが、一方でパンをちぎる行為のbreakに由来するという説も興味深い。

ブライダルの語源の一部は「ビール」

bride(花嫁)の形容詞はbridal(花嫁の)だが、この単語は「bride(花嫁)+ale(エール)」が語源で、花嫁とイギリスの伝統的なビールのエールの2語からなる造語であった。

グラスに注ぐビール
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ブライダルの語源の一部は「ビール」(※写真はイメージです)

なお、「花婿」はbridegroomという。夫に先立たれた女性、つまり「未亡人」はwidowというが、逆の「男やもめ」はwidowerという。

このように、女性を表す名詞から男性を表す名詞が生まれるのはまれである。

なお、「花婿」のbridegroomは単にgroomと言うこともある。

日本語では「新郎新婦」の語順だが、英語では、bride and groomとなる。