SNSの時代の後には「自己実現欲求」の時代が来る

SNSというものがあるから人は余計に他者からの承認を求めて競い、結局は自身の暗部をさらけ出すことのできない他者との間にある強大な壁を知ることで、孤独に陥ってしまうという罠があります。

人間はそういう意味でつくづく勝手だと思います。それまで群れたいと思っていたのに、群れた後には他者より優位に立って認められたいという欲求が出てきてしまう。

でもこの「承認欲求」の壁にぶち当たったとき、人間は「自分の本当にしたいことはなんだろう」と振り返ることができると信じます。

「他者の承認」より「自分が自分自身を承認すること」。そして自分自身と折り合いをつけて他者を気にせず、自分自身の興味を追求すること。これがマズローのいう「自己実現欲求」であり、最終的な欲求段階となってきます。

SNSの時代の後にはこの欲求が優位となる時代が訪れると私には思えます。そしてそのときは周りとの相対的な関係において、相手からの「承認欲求」を得ることを喜びとする外向型より、自己と対話することにより「自身の内面」をよく知り、他者に流されず「自分の行きたい道」をまっすぐに進む内向型が真価を発揮するときだと信じています。

まさにアサーティブネスが求められているのです。内向型の時代なのです。

犬の病気でも休むアメリカの人々

アサーティブネスの重要性はアメリカで働いていると特に強く感じます。アメリカでは、アサーティブネスを意識している人が日本に比べると圧倒的に多いです。

例えば、日本では休みを取りたくても上司の目を気にして躊躇してしまう人が今でも多いでしょう。

アメリカでは自分の都合で休みを取ります。理由もさまざまで、自分の病気はもちろんですが、家族の病気、犬の病気などでもみな休みますし、誰も違和感を抱きません。

日本ならば「犬が急病なので今日休みます」と言われたら違和感を抱く人がいまだに多いのではないでしょうか。

獣医に診てもらう犬のイメージ
写真=iStock.com/SeventyFour
※写真はイメージです

一方アメリカでは、「犬が病気で、自分が病院に連れていくから休みます」と言って、上司に嫌味や文句でも言われたら、「犬は私の家族です。犬を大切にすることは私自身を大切にすることです。あなたは私や私の家族より仕事を大切にしろと言うのですか」と誰もが言い返します。