「ガチ勢」はどの業界でも敬遠されやすい

このことは他業界についても言えます。

最近、トレーニングジム業界では24時間営業の無人ジム「chocoZAP(ちょこざっぷ)」が爆発的に会員数を伸ばしており、年内に100万人に達するという見通しが出ていますが、その理由は①月額2980円(税別)という安さ、②無人なので手軽に利用でき、口うるさいマニア層がいないから初心者でも心理的に利用しやすい――という2点にあります。

先日、久しぶりに学生時代の先輩にお会いしたのですが、この人は長年、「ちゃんとしたジム」に通っているガチ筋トレ勢で「ちょこざっぷなんて絶対に認めない」という意見でしたが、こういうガチ勢がいないことが「ちょこざっぷ」に初心者が入門しやすい状況を作り出しているのです。仕様も価格も本格的な物を初心者にいきなり提示しても購入や契約に至ることは難しいものです。

筋トレに限らず、ファッションもその他趣味の分野もいかに価格や仕様で入門のハードルを下げることができるかが、その分野のファンの裾野を広げることにつながるのです。

一方、低価格ブランド側としては、著名なブランドとコラボをすることでブランドイメージを高めることができる点は言うまでもないので、実際のところコラボはウィンウィンな取り組みだといえます。

今後もコラボ企画は続々と展開される

ユニクロは2004年から公言してファッション化に取り組み始めたので、2006年から始まったデザイナーズインビテーションもその流れを汲んでのことだと考えられます。2004年から数えて20年が経過する中で、低価格ブランドのファッション化がマス層にも認知されるようになったといえます。この20年間でマス層のファッションブランドへの接する姿勢も随分と様変わりしたといえます。

今後も大手低価格ブランドとデザイナーズブランドとのコラボは毎年のように継続し続けることになるでしょう。むしろ、知名度を高めたいと願う新進気鋭のデザイナーの方が大手低価格ブランドとのコラボ企画をより積極的に望むようになるでしょう。