楽な中学受験というものはない

高校受験、大学受験では、私立であっても学校の学習指導要領を大きく超える問題はほとんど出題されません。しかし、中学受験では小学校の学習内容を大きく超えるどころか、もはや別次元の問題が出されます。

中学受験の理科・社会は、高校受験の理科・社会に比べてずっと難しいですし、30年前にトップ校で出題された問題が、今や中堅校で出題されます。

かつては「難問」とされていた多くの問題は、塾の指導ノウハウの向上によって、今では難問に分類されなくなっているのです。さらに、対策される学校側も、入試問題のレベルを上げるので、年々問題のレベルが上がっていくわけです。

また、大学入学共通テストの変化に合わせて、中学入試も思考型の問題を増やしています。「知っていれば解ける」という問題から、「知っていることを前提に、そこから何を課題だととらえて、どう思考して、思考したことをどう表現するか」という問題にシフトしてきているのです。

「うちは、偏差値の高い学校はめざしていないんです。偏差値50以下の学校で、よさそうな学校があれば、そういうところでいい」とおっしゃって、塾を訪ねてくる方もいらっしゃいます。

でも、たとえば、四谷大塚の偏差値で40以上の学校になると、もう本格的な受験勉強をしないと受かりません。楽な中学受験というものはないと考えておいたほうがいいでしょう。

勉強している子供の手元
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

第一志望校に合格できるのは「3人に1人」

4 思っていたより合格の可能性が低い

4つめの想定外は、思っていたより合格の可能性が低いということです。

3人に1人。これが、中学受験において、最終的に第一志望校に合格できる割合です。

第一志望の学校は、ほかのご家庭からも望まれている学校であることが多いです。そういう学校は、倍率が3倍を超えることが多いですから、3人のうち2人は不合格となる計算ですね(ちなみに、男女御三家はざっくり3倍程度の倍率ですが、中には10倍を超える倍率の入試もあります)。受験までにあきらめる家庭も多いので、そのような家庭も含めれば、合格はもっと少ない割合になります。

小3の2月から長い時間と数十、数百万円を投じても、第一志望合格できるのは3人に1人以下なのです。中学受験は「がんばれば合格できる」という甘い世界ではないことを覚悟しておきましょう。