勇気を出して自分の弱さを認め、受け入れ、そんな自分を支えてくれている存在に気づくことができれば、あるがままの自分に価値があり、生きている意味があることを実感できるはずです。

強いところも弱いところもみんなひっくるめて、あなた自身であり、それらすべてがあなたらしさを形づくっています。

弱いところもきちんと認め、受け入れて初めて、あなたは誰かの真似ではない、社会の価値観をただなぞっただけではない、真にあなたらしい人生、本来の自分の人生を生きられるようになるのです。

ありのままの自分で生きることは、欠点を放置することではない

もっとも、一口に「弱さ」といっても、さまざまな種類があります。

お金や地位、名誉、才能などの、目に見えるわかりやすい強さや力を持ち合わせていないこと、老いや病気などによって、それまで持っていた強さを失い、自分一人でできることが少なくなっていくことも弱さですが、たとえば「すぐ人のせいにしてしまう」「嫌なことから逃げてしまう」「ミスを指摘されると怒ってしまう」「自分より立場の弱い相手にきつくあたってしまう」「人の話を聞かない」「自分のわがままを優先してしまう」など、私たち一人ひとりが持つずるさ、自分勝手さなどの欠点も、弱さだといえます。

近年、「あなたはあなたのままでいい」という言葉を、よく耳にします。

この言葉は間違いではないのですが、「欠点という弱さを、ただ放置してもいい」ということではないと、私は思っています。

欠点という弱さについて、まずは勇気を出してしっかりと見つめ、「自分には、こうした狡さや自分勝手さがある」と認めることは必要です。決して自分を責めるのではなく、ただ自分が完全な人間ではないこと、あるいは苦しみの原因が他者ではなく、自分の弱さにあることを静かに受け入れる。

それができれば、きっと心が穏やかになり、苦しみも和らぐでしょう。しかし、そのうえで、変えられるものは変えていく向上心を持つことが大事だと、私は思います。

日没時にビーチに立っている女性
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです

克服した弱さは、いつか自分らしさと自信に変わる

先ほど、「強いところも弱いところもみんなひっくるめて、あなた自身であり、それらすべてがあなたらしさを形づくっています」と書きましたが、もし弱さのうち、変えられるものを変えていったらどうなるのか。

それもまた、「あなたらしさ」の非常に重要なパーツになりますし、あなたに自信と自己肯定感を与えてくれるのではないかと思います。