正しい勉強法を選ばないと「かわいそう」になる

また、中学入試というと、難問・奇問のオンパレードというイメージを持っている人は少なくないが、近年の入試はその中身が大きく変化している。確かに以前はそういう問題が多く見られ、できるだけ多くの知識を詰め込み、たくさんのパターンの問題を解いて鍛えるという勉強法に走りがちなところはあった。しかし、今は大学入試と同様に、思考力や表現力を重視する問題へとシフトチェンジしているため、「なぜそうなるのか?」という納得感のある理解なしに解くことはできなくなっている。

こうした「自らの頭を使って考える学習」をし続けていけば、志望校合格といった目先の目標だけでなく、問題解決力といった生涯必要となる力を身につけていくことができる。つまり、メリットだらけなのだ。

だが、それは正しく勉強すれば、の話だ。そこを間違えて、詰め込む学習やパターン学習に走ってしまうと、成績が伸び悩むばかりか、親子で疲弊する。そして、その姿は他の人から見れば「かわいそう」に映るのだ。

ソファーに座った両親を前にして、30点と採点された算数のテスト用紙を後ろ手に持っている子供
写真=iStock.com/takasuu
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うまくいっている家庭は、親も一緒になって勉強を楽しんでいる

「小学生に夜遅くまで勉強をさせてかわいそう」
「小学生の子供なのに遊べなくてかわいそう」

中学受験に良いイメージを持たない人は必ずこう言う。

だが、私は本当にかわいそうなのか、疑問に思う。

まず、中学受験の勉強がうまくいっている家庭では、夜遅くまで勉強させることはない。確かに塾の帰りは20時を過ぎるが、やり方次第ではいくらでも早く寝ることはできる。そもそも、小学生の子供には8時間の睡眠は必要だ。睡眠時間を削ってまでして勉強をしたところで、集中力は続かないし、効果はない。

塾のある日は、その日授業で習ったことを復習すれば十分だ。よく勘違いされるのが、「復習」=「宿題」だと思っていること。宿題は復習をした後に行うものだ。では、復習は何をするのかというと、その日の授業で習ったことを親に教えてあげればいい。人に説明をするには「なぜそうなのか」という因果関係の理解が必要になる。

そうやって、インプットした後にアウトプットをすることで、理解が定着する。授業の話をするだけだから、夕飯の会話の中で済ますことができる。あとはお風呂に入って、寝るだけ。22時にはベッドに入れる。宿題は塾のない翌日にやればいい。または、朝型学習を取り入れるのもおすすめだ。