中学受験と高校受験で「偏差値」はもはや別物
2024年度の中学入試が終わった。首都圏では小学生の5人に1人が中学受験をする時代となり、近年は、偏差値45〜55の中堅校がボリュームゾーンになっている。
首都圏で中学受験をすることは、もはや特別なことではない。しかし、それでも今もなお「遊びたい盛りの小学生に塾通いをさせるなんてかわいそう」という見方をする人は一定数存在する。また、夫婦間でも母親は中学受験をさせたいのに、父親が難色を示すケースも少なくない。
特に偏差値70超えの地方トップ校出身で、その後、自分の努力によって難関大学に進学したという成功体験を持っている父親に多いのが「わざわざ中学受験をして、偏差値50の学校に入れるなんて」という考え方だ。そういう人にとって、偏差値50の学校は、勉強ができない子が集まる学校というイメージがつきまとう。しかし、同じ受験でも、中学受験と高校受験とでは、偏差値はもはや別物であることを忘れてはいけない。
偏差値50レベルの学校が、高校では偏差値70レベルに
偏差値というのは、そのテストを受けた人の全体に対して、自分がどの位置にいるかを表したものだ。同じテストで同じ点数をとっても、まわりの受ける人が入れ替われば、偏差値も変わる。中学受験に挑戦する子供たちは、小学校では勉強のデキる子がほとんどだ。中学受験の偏差値は、そういう優秀な子たちが集まって受けるため、当然数字もシビアに出る。
また、塾の難易度によっても、偏差値は変わってくる。難関中学を目指す子がこぞって集まるサピックス偏差値の50は、中堅校がボリュームゾーンの四谷大塚偏差値では55を超える。そして、これらの偏差値帯の学校が、高校受験では偏差値70レベルの学校に化ける。中学受験では偏差値50レベルの学校でも、その6年後の進学実績を見ると、国公立大や私立難関大への進学率は高く、決してレベルが低い学校というわけではないのだ。