大学は文学解釈の英語教育を改めよ
『こんな大学で学びたい!』の著者で大学研究家の山内太地氏は、次のように指摘する。
「立教大学国際経営学科の取り組みは非常に評価が高い。ほかにも筑波大学や慶応大学のように、ビジネスの場面で使える英語教育を行っている大学がいくつかあります。『グローバル人材』の育成を視野に入れた英語教育プログラムを取り入れる大学が目立ってきています」
山内氏が挙げた筑波大学の国際総合学類では、「英語を中心とするコミュニケーション能力の向上、情報処理技術の習得」を掲げ、英語のみを使う授業、交換留学生の派遣と受け入れ、海外インターンシップの推進のほか、海外の大学と連携したeラーニングを実施している。
慶応大学経済学部も「PCP」(プロフェッショナル・キャリア・プログラム)と銘打ち、3、4年生を対象に、授業や質疑応答、試験を英語で行うなどして、学生の将来のキャリア形成を後押ししようとしている。
ただ、山内氏は大学教育の実情に対してこんな苦言も呈した。
「まだ、ほとんどの大学がシェークスピアをはじめとする英文学をどう解釈するか、といった英語教育に固執しています。これは英語学ではなく、あくまでも英文学。これでは企業が求めているビジネスに役立つための英語力はまったく身につきません。学生は被害者だともいえます」
確かに、旧態依然のアカデミックな発想だけでは、「企業人を養成する」役割も求められる大学教育は立ちいかない。英語力は、まさに「企業と学生の縁結び」の成否のカギをも握っているのだ。
※すべて雑誌掲載当時
(宇佐見利明=撮影)