さらっと言えると上品なイメージを与える言葉

相手の趣味を聞くときは気を付けたい
× 茶道をおやりになりますか?

○ 茶道をなさいますか?

相手に、趣味やたしなみ、稽古事を聞くのは難しいことです。聞き方ひとつで、教養があるかないかを相手にさらしてしまうことになるからです。

とくに茶道、華道、書道、弓道など、「道」の字がつく、いわゆる日本の伝統文化を稽古事にしている人は、日本語の言葉遣いも、お稽古の中で学んでいます。そのため、伝統文化を嗜む人たちと話をするときは、背筋が伸びるような思いになるのではないでしょうか。

さて、こうした人たちに「茶道をおやりになりますか?」「お習字をおやりになりますか?」と聞くと、「おや?」と思われるかもしれませんので、正しい尋ね方を覚えておきましょう。「おやりになる」は、間違った日本語なのです。

「茶道(華道、書道)をなさいますか?」あるいは「茶道を嗜まれますか?」と尋ねるようにしましょう。

「嗜む」という言葉は、「趣味として楽しむ」という意味です。単に、「楽しむ」「趣味にする」というより、奥深くまで心得ているようなニュアンスがあります。

もちろん、「競馬を嗜む」「読書を嗜む」「音楽を嗜む」などとも使えます。「趣味はなんですか?」と尋ねるのではなく「何か嗜んでいらっしゃいますか?」という言い方で尋ねてみてはいかがでしょう。

相手の趣味を尊重することにもつながり、さらっと言えると上品なイメージを与えることができます。

「感動」を「感心」に言い換えてはいけない

意外と知らない「感心した」のもう一つの意味
× 感心しました

○ 感服いたしました・勉強になりました

優れた絵画、音楽などを鑑賞した際、「心を動かされた」とか「感動した」と言うことがあると思います。

拍手を送るビジネスウーマン
写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio
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もし、「感動した」を「感心した」で言い換えたとしましょう。「感心」には褒める意味ももちろんありますが、「ある意味感心してしまう」などのように、「驚き、あきれる」という意味もあります。

そのため、「感動」を「感心」と言い換えてしまうことは、「その人らしからぬ驚くようなところがあったが、ワクワクするようなものではなかった」という意味で、相手に間違った意味で伝わってしまうかもしれません。

たとえば「部長の英語力に感心した」などと言うと、「部長が英語をあんなに話せるなんて驚いたし、びっくりしたよ!」と、ちょっと馬鹿にした感じになってしまいます。

このような場合には「感服しました」と言ったほうが適当です。「服」は「屈服」という熟語で使ったりしますが、「感服」は、「恐れ入りました」「私の認識不足でした」という意味です。

そして、「勉強になりました。今後ともどうぞご指導、よろしくお願い申し上げます!」と添えて伝えるのが、適切な言い方です。