丸ごと買って、海外に売る、自分で店を展開して提供する
それは、一頭丸ごと買うこと。これなら、売り手にとっても売りやすいし、何よりもジョーカーのカードのように一番強い買い方でもあります。
その方法は、利益率を高めていくうえでも有効になると思っていました。パーツを右から左に流しているだけでは利幅は極めて薄いのです。しかも、ちっとも面白くない。いわゆる従来の卸事業には、すでにプレーヤーは山のようにいるのです。
では、どのようにして利益率を高めるのか。それが、一頭丸ごと買うことでした。プライムパーツ(サーロイン、リブロース、フィレ)は高い金額で海外に輸出する、そして残されたセカンダリーのパーツの係数値(各パーツの値付け)を変更することで、高い和牛でも利益を残せると確信したのです。
また、一頭単位で買うことで、他社よりも購買力を増すことができます。生産者も一次卸もパーツ購入ではなくて、一頭丸ごと買う業者のほうが商売としては楽だから、最優先権利をもらえます。
そして最終的には、僕は、自分で店を展開して提供するという道を選択することになりました。
グローバルを狙え、ニッチ世界一を狙え
起業にもいろいろな種類があると思いますが、誰もが1兆円ビジネスを目指す必要があるわけではない。僕自身、そこには向いていないし、そうしたいとも思いませんでした。自分がやるべきはそこではない、と思っています。
これからは規模の経済を追う流れは弱まり、よりパーソナルな方向へと移行していきます。そこにフォーカスしていけば、ビジネスチャンスは大きく広がっていくと思うのです。
目指すべきは、ニッチカテゴリーで世界一になることです。例えば、コーヒーの世界でバリスタチャンピオンシップの世界一になる。ソムリエで世界一になる。わかりやすく世界で通用するコンテンツで、世界一、つまり世界で一人だけという称号を目指すのです。